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油脂を究める研究開発拠点「インキュベーションスクエア」の全貌

日清オイリオグループ施設見学レポート 油脂を究める研究開発拠点「インキュベーションスクエア」の全貌

2024年8月7日
2602 日清オイリオグループ
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2024年5月に稼働を開始した日清オイリオグループの「インキュベーションスクエア」。新たな事業や商品・サービスの開発・育成・支援を行う同社の新拠点である。その報道向け見学会が2024年6月4日に開催された。長期ビジョン 「日清オイリオグループビジョン2030」で掲げる「グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業」への飛躍を目指すうえで重要な施設となるであろうインキュベーションスクエアの全貌を紹介する。

1拠点で基礎研究から小規模生産までを可能にする

 インキュベーションスクエアの最大の特長は、ラボスケール(ビーカーサイズ)の研究開発からパイロットスケール(ドラム缶サイズ)での試作、そして小規模生産までを一気通貫で行える点だ。

 旧技術開発センターだったA棟(延べ床面積4,284㎡)と、新設のB棟(同2,890㎡)のそれぞれ3階建ての2つの建物からなり、A棟には油脂に関する各種実験室が備わり、基礎研究から商品開発までを担う。B棟には開発途上製品のサンプル製造から小規模生産まで対応するパイロット設備が設けられている。

 これまでは旧技術開発センターの実験室においてラボスケールでの小規模実験の後に、大規模な実機でテストをするという開発工程だった。ただ、実機による製造テストでは高頻度のテストは難しい。そこでビーカーサイズと実機の中間サイズであるパイロットスケールの設備を有するB棟を新設したというわけである。このような中間サイズの設備を充実させている企業は少ないという。

 パイロットスケールでの試作を行うために、B棟には「合成」「反応」「蒸留」「分別」「精製」「調合」「乳化」「急冷混練」の8つの小型プラントが設置されている。一元管理システムを採用し、大型モニターでリアルタイムに全プラントの稼働状況が監視できる。
 また、用途によって配管などが組み替えられるモジュール構造となっており、さまざまな小規模生産に柔軟に対応できるという。

パイロットスケール設備
配管などが組み替えられるモジュール構造となっている

顧客企業との共創による価値創造のための新施設

 日清オイリオグループがインキュベーションスクエアを新設したのは、より効率的でフレキシブルな研究開発を可能にし、それによって新たな価値創造につなげていくためだ。これを実現するキーワードが「共創」である。

 日清オイリオグループのいう共創とは、グループ内における研究開発から生産、営業までの社内連携はもちろん、食品関連企業や化粧品関連企業などBtoB領域における顧客企業との社外連携にまで広がる。
 ファインケミカル事業の化粧品分野を一例に具体的な構想を紹介しよう。

 インキュベーションスクエアのB棟の研究エリアには、温度・湿度をコントロールし、肌の状態を科学的に観察・評価が可能な恒温恒湿室がある。同社では、この恒温恒湿室を活用して、主に国内外の化粧品メーカーなどとスキンケアやメイクアップの新商品などの共同開発につなげようとしている。客観的なデータを基に顧客と緊密な意思疎通が図れるため、商品開発の大幅なスピードアップが期待されている。

恒温恒湿室。温度・湿度をコントロールし、肌の状態を科学的に観察・評価ができる

 研究エリア内にはこのほかにも、試食や評価のための調理を行う共創型キッチンや、揚げ物の様子を360度から観察できるガラス製のスケルトンフライヤーを設置したフライ室、味覚センサーなどを備えた五感の見える化ができる分析評価室などがあり、顧客企業とのさまざまな共同開発に対応している。

試食や評価のための調理を行う共創型キッチン
ガラス製のスケルトンフライヤーを設置したフライ室
五感の見える化ができる分析評価室

 日清オイリオグループは顧客企業に対して、同社営業を窓口に企業の課題をリサーチし、それを開発部門と共有しながら技術的提案をすることで課題解決を図ってきた。今後は、インキュベーションスクエアという新たな共創の場が誕生したことにより、顧客企業と同社の開発者が共に手を動かしながら、ものづくりや評価を行うことが可能になる。
 インキュベーションスクエアによる共創の深化とスピードアップが、次にどのようなイノベーションを創出するか期待される。

 

●会社概要(2024年3月31日現在)

  概要
商号
日清オイリオグループ株式会社
The Nisshin OilliO Group, Ltd.
業種
食料品
設立
1907年3月
決算月
3月
市場
東証プライム
代表者
代表取締役社長 久野 貴久
資本金
163億3,200万円
発行済株式数
33,716千株
従業員数
3,078人(連結)


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