油脂を究める──。 日清オイリオグループは、 私たちに身近な存在である油脂の可能性に着目し、 それを形に変えながら着実な成長を実現してきた。 その源泉は “植物のチカラ®” と “油脂をさらに究めた強み” による価値創造にある。 日清オイリオグループは何を目指し、 どこへ行こうとしているのか。 中長期的な経営戦略と新たな価値の創造に向けた取り組みを、 久野貴久 ・ 代表取締役社長にうかがった。
代表取締役社長
ROE10%達成に向けて
──はじめに、 日清オイリオグループの中長期戦略をお聞かせください。
久野 2021年度よりスタートした長期ビジョン 「日清オイリオグループビジョン2030」 では、 これまでより 「もっとお客さまの近く」 でビジネスを展開することを基本方針として、 グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業へ⼤きな⾶躍を遂げるための取り組みを進めています。
事業環境の大きな変化を背景に、 2023年5月には当初の経営目標を一部変更し、 ROEを最重要指標として位置付けました。 2030年にROE10%を達成することを目標とし、 その達成を各事業領域の取り組みで推進するため、 ROIC7%を掲げています。
ROE10%、 ROIC7%の達成に向けては、 (1)国内油脂事業における着実な成長と収益性の向上、 (2)加工油脂事業 ・ ファインケミカル事業におけるグローバル市場でのプレゼンス拡大、 (3)北米における新市場の開拓 ── の3つに取り組んでいます。
── 「多様な価値の創造」 を実現する日清オイリオグループの強みは何でしょうか。
久野 国内油脂事業においては、 生活を支えるあらゆるチャネルでのお客さまとの接点が、 油脂の価値を上げていくうえでの強みであると捉えています。 お客さまとの接点は、 「BtoC」 「BtoB」 「BtoBtoC」 の3つに分類できます。
BtoCにおいては、 食用油の栄養機能や新しいおいしさ ・ 使い方を訴求して市場の拡張に取り組んでいます。 BtoBでは、 顧客に対するサポートとソリューションを強化しており、 顕在ニーズだけでなく、 顧客と共に潜在的なニーズを発掘する営業を積極的に展開しています。 また、 BtoBtoC領域では、 MCT (中鎖脂肪酸油) の機能性素材マーケティングで新たな市場の創造に取り組んでいます。
これらの取り組みの基軸となるのが、 日清オイリオグループの 「市場創出力」 です。 これまでも当社グループは、 既存商品の改良に取り組むだけでなく、 過去にない機能や付加価値を持った新商品を創造し、 新たな食文化や食習慣を提案してきました。 生活者の潜在ニーズに応える真に革新的な商品を開発し、 新たな価値提案を通じて食用油マーケットを拡張してきました。
── グローバル展開についてもお聞かせください。
久野 海外では、 主に加工油脂とファインケミカルの領域において精力的に事業を展開しています。 そのなかで、 加工油脂の主要製品であるチョコレート用油脂では、 世界における販売量のシェアを約9%から12%までの拡大に取り組んでおり、 「世界トップグループ入りを果たす」 という目標に向けて着実に歩を進めています。
また、 ファインケミカル事業の主要製品である化粧品の原料油脂でも、 世界シェアを約9%から11%に拡大することを目標化しており、 アジアの化粧品市場の成長を取り込むことなどによって、 化粧品の原料油脂におけるリーディングカンパニーとなることを目指しています。
日清オイリオグループの市場創出力
──日清オイリオグループの市場創出力が発揮された具体例をご紹介いただけますか。
久野 まず、 国内の家庭用市場 (BtoC) で新たな提案を行ったのが、 油を料理にそのままかけて摂取する 「かけるオイル」 シリーズの展開です。 オイルのおいしさと健康価値を手軽に享受していただくため、 料理に直接かけて楽しむという新しいスタイルを発信しました。 「かけるオイル」 の市場創造によって、 ネガティブなイメージを持たれがちであった油脂のイメージはポジティブなものに変換してきており、 健康機能面での理解を促進することにもつながったと考えています。
クッキングオイルのカテゴリーにおいても、 消費者インサイトに基づき新たな市場を創出しています。 少量使いという新しい価値を提供する 「ハーフユース」 や、 中鎖脂肪酸の働きで体脂肪がつきにくい 「MCTリセッタ」 、 カテゴリー売上No.1の商品となった、 揚げ物のカロリーを抑えられる 「ヘルシーオフ」 など、 マーケティング ・ 機能型商品へのシフトを進めています。 そして2024年2月には、 酸化を抑えることで開封後もつくりたての油のおいしさが持続する 「ヘルシークリア」 を発売いたしました。
──BtoBにおける市場創出の例も教えてください。
久野 それでは、 業務用食用油での取り組み事例をいくつかご紹介しましょう。
近年、 コロナ禍をきっかけとして、 フードサービスの調理現場では求められるものが大きく変化しており、 コスト増大や人手不足による調理技術のばらつきなどの問題が顕在化してきました。 コスト抑制の観点では、 新しい油を廃油にするまでの期間をなるべく長くするために、 長持ちや低吸油タイプの機能フライオイルなどの商品提案に加えて、 調理現場へのフライオペレーション最適化提案も行っており、 取引先の課題に対してオペレーション改善にまで踏み込んだソリューションを提供しています。
また、 誰でも均一においしく調理できる業務用機能性オイル 「素材のオイル」シリーズ も好評を得ています。 これは、 香味素材の自然な風味を再現することで少量でもしっかり風味づけでき、 加熱調理時に焦げにくく、 調理後の洗浄を省力化できるというもの。 つまり、 「おいしさ」 「コストメリット」 「時短」 の3つの価値を実現した商品です。
調理現場での課題を解決し、 利便性を向上させる商品を投入することで当社グループはマーケットシェアの拡大を図っています。
今後の取り組みについて
──BtoBtoCについてはどのような取り組みを進めていますか。
久野 MCTは、 「体脂肪やウエストサイズを減らす」 機能性食品として当社グループの商品はもとより、 流通や加工食品メーカーの皆さまに素材として活用いただくことで、 幅広い食品で摂取していただける取り組みを展開しています。 その市場規模は2021年10月からの1年半で約2.5倍になっており、 さらに2023年には、 「日常活動時の脂肪の燃焼を高める」 新たな機能性表示の届け出を行いました。
今後も、 MCTを体調や体質などのパーソナルな健康課題に応えられる機能素材として、 他社との共創を含め拡販に取り組むとともに、 低栄養の改善による高齢者の健康寿命の延伸への貢献など、 フレイル ・ プレフレイル市場への展開も⾒据えたマーケティングを強化していきます。
──研究開発において、 今後の展望をお聞かせください。
久野 油脂の有用性と共有価値を探求し、 商品として結実させていくためには、 その推進基盤である研究開発体制の一層の強化が欠かせません。 こうした認識に基づき、 顧客との価値共創を推進する基盤として、 2024年5月にインキュベーションスクエアを横浜磯子事業場 (神奈川県横浜市) に開設する予定です。
また、 日清オイリオグループは新たな油糧資源の獲得に向けた取り組みも行っております。 その取り組みの第一歩が独立栄養生物 「藻類」 による食用油創出の検討 ・ 研究です。 当社グループはこの微細藻類から得られる有用物質 (食用油脂等) の研究に着手しています。
油脂を究める──この理念を胸に、 私たちはこれからも身近な存在である油脂に秘められた無限の可能性を切り拓いてまいります。
●会社概要(2023年3月31日現在)
概要 | |
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日清オイリオグループ株式会社 The Nisshin OilliO Group, Ltd. |
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食料品 |
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1907年3月 |
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3月 |
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東証プライム |
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代表取締役社長 久野 貴久 |
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163億3,200万円 |
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33,716千株 |
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3,001人(連結) |
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