クレジットカードの認証システムにおいて圧倒的なシェアを保持する*ほか、金融・証券やセキュリティ領域においても独自の存在感を発揮しているインテリジェント ウェイブ(IWI)。ITサービス企業である同社の市場における優位性と今後の成長戦略を、佐藤邦光・代表取締役社長にうかがった。
* インテリジェント ウェイブ調べ
代表取締役社長
お客さまから寄せられる信頼が最大の優位性
――IWIのビジネスモデルと、その優位性についてご説明ください。
佐藤 当社は、クレジットカード利用時に使用認証を行うFEP*システム「NET+1」と、カードの不正利用検知システム「ACEPlus」を軸に事業を拡大してきました。30年以上前、国内におけるクレジットカードの24時間365日ノンストップのオンライン決済実現に向けて開発された製品ですが、現在でも多くのお客さまにご利用いただき、当社の持続的な成長を牽引しています。
当社はまた、常にお客さまに寄り添い、さまざまなIT課題に最適なソリューションを提供してきました。特にクレジットカード業界においては、お客さまと緊密な共創関係を構築しており、お客さまから寄せられる信頼こそ当社のかけがえのない財産であり、市場における最大の優位性だと捉えています。
* Front End Processorの略称。主にメインプロセッサーの手前に配置して前処理を行う機器やソフトウエアのこと。決済システムにおけるFEPは、ネットワークを介してカード加盟店やカード発行会社とつながり、主にカード会社が実施する審査業務(オーソリゼーション)を24時間365日無停止稼働で安定して行う非常に重要なシステムのことを指す
――2022年6月期の事業環境と業績をどのように評価していますか。
佐藤 ここ数年注力してきた収益力拡大への取り組みが、業績として結実した意義ある年度となりました。当社の売上高は2018年6月期に100億円を突破して以降、安定的に推移しています。
2022年6月期の売上高は対前期比で2.7%増にとどまっていますが、一方、2016年に開始したクラウドサービスの黒字化やシステム開発の品質・生産性向上の取り組みなどが奏功し、営業利益は同34.4%増、当期純利益は同25.6%増といずれも大幅な伸長を記録しました。
今後は、決済分野における事業領域の拡大やセキュリティ事業の拡大、さらには海外展開、新規事業の創出などにより売上高の上積みを図ると同時に、収益性のさらなる改善・強化に取り組んでいく方針です。
企業のビジネスリライアビリティを支える
――2021年8月に企業ミッションを再定義されています。
佐藤 2000年代以降、従来の決済関連システム事業、金融・証券関連システム事業に加え、情報セキュリティ事業に本格参入したほか、近年は、決済・金融事業で培った技術や知見を活かして、新たな領域に進出しようとしています。
こうした当社グループの現在の姿と今後の方向性をより明確にするため、「クレジット決済システムの開発会社」から、「決済、金融、セキュリティ分野を含む、あらゆる企業のビジネスリライアビリティを支えるITサービス会社」に進化することを、新たな企業ミッションとして掲げました。
今後はさらに事業領域を広げていくことを宣言したわけですが、その領域はいずれも重要な社会インフラになります。「ビジネスリライアビリティ」とは当社の造語ですが、こういった事業領域であるからこそ、当社の信頼性はもちろんのこと、お客さまの事業の信頼性向上にも貢献していくことが当社の使命であるという、強い決意を託しています。
――2022年7月には、新たな中期事業計画がスタートしました。策定の背景と計画の基本方針を教えてください。
佐藤 経営環境の変化に柔軟に対応していくため、当社は毎年ローリング方式にて中期事業計画を策定・実行しています。2023年6月期から2025年6月期までの中期事業計画は、事業基盤の強化・拡大を図ると同時に、今後の持続的成長に向けて、人財基盤と共創基盤の確立に取り組んでいくことを基本方針に掲げています。数値目標はローリング前の旧計画から上方修正し、計画最終年度の売上高165億円(2022年6月期実績は114億円)、営業利益25億円(同15億円)、営業利益率15.2%(同13.2%)に設定しました。
社員の成長を事業の成長へとつなげていく
――事業基盤の強化・拡充に向けた戦略を教えてください。
佐藤 基本テーマは、「事業構造の変革」と「事業領域の拡大」です。「事業構造の変革」では、システム開発会社からプロダクト開発を強みとしながら、幅広いソリューションやサービスを提供するITサービス会社への変革を目指しています。また、事業の安定化を図るためにストックビジネスも増やしていきます。従来はシステム開発やハードウエア販売などのフロー売上が大半を占めていましたが、2024年6月期までにストック売上の比率を50%以上とし、売上高全体の増大を図っていきます。
当社はFEPと不正検知の会社というイメージを持たれがちですが、それだけではないことを示していきたい。今後はさらに、カード会社の基幹システムや周辺システム領域にも進出したいと思っています。カード会社においても、システム投資負担を減らすために、クラウド化や内製化の取り組みが進んでいます。そうした状況から、当社に声がかかるケースも増えてきており、決済事業領域を拡大するチャンスだと考えています。
また事業領域の拡大に関しては、セキュリティ事業の拡大はもちろんですが、放送、交通、電力、スマートファクトリーなどの社会インフラ分野への進出を目指し、次代の収益源創出に努めていきます。
――人財基盤と共創基盤の確立については、どのような取り組みを進めていますか。
佐藤 当社がさらなる成長を追求するためには、高い専門性と人間性を兼ね備えた“人財”を育成し、社員の成長を事業の成長へつなげていく「社会貢献の好循環」を構築することが欠かせません。
キーワードは、「挑戦」「成長」「自律」です。豊かな創造力だけでなく、将来、業界のフロントランナーになりうる資質を持った人間を幅広く採用し、社員すべてがワクワク感を持ちながら新しい課題に挑戦する企業風土を作っていく。そのための試みとして、地方大学からの採用拡大や、ワーケーションの実証実験*なども行っています。多様な人財を強みに生き方や考え方を尊重し、社員一人ひとり一人の幸せと成長を支えていきます。
当社はまた、企業変革の取り組みとして、部門横断の対話を活性化させることにより、有機的な組織連携と社員間の共創実現を目指しています。ESGやSDGsへの取り組みも、こうした共創のもとでこそ実効性あるものになると信じています。
* 本社勤務社員の新たな働き方として、函館事業所や沖縄県宮古島市において、ワーケーションの導入を目指して効果検証を3カ月間実施した
――最後に株主還元の考え方を教えてください。
佐藤 当社は株主・投資家の皆さまへの利益還元を重要な経営課題と位置づけ、配当性向40%を規準とした安定的な配当の継続に努めています。2022年6月期は前期比で4円増配の1株当たり17円の配当を実施。2023年6月期は1株当たり20円の年間配当を予想しています。
当社はこれからも、株主還元の一層の充実を図ると同時に、さらなる成長を目指し、株主価値の最大化を追求していきます。ぜひ当社の企業活動に対するご理解とご支援をお願いします。
●会社概要(2022年6月30日現在)
概要 | |
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株式会社インテリジェント ウェイブ |
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情報・通信 |
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1984(昭和59)年12月 |
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6月 |
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東証プライム |
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代表取締役社長 佐藤 邦光 |
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8億4,375万円 |
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26,340千株 |
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449人 |
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