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3,800社超の過去・現在・未来を知る

テーマ4:『会社四季報』 3,800社超の過去・現在・未来を知る

2023年1月13日
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企業発掘 ・ 研究にはさまざまなツールがありますが、 なかでも 会社四季報』 (東洋経済新報社) は多くの投資家の支持を集めているのではないでしょうか。 今回は、 本書を100冊以上読破したという複眼経営塾・渡部塾長に独自の企業研究スタイルを構築するに至った背景や、 本書の活用法をうかがいました。

※本文中の銘柄名をクリックすると最新の株価を確認できます

『会社四季報』 100冊読破で思うこと

  『会社四季報』 2023年1集 (新春号 / 2022年12月発売) を読み終え、 私の四季報読破は101冊目となりました。 本書は1936 (昭和11)年、 二 ・ 二六事件の3カ月後に創刊され、 終戦の混乱期に3年間の休刊期間があったのを除くと、 ほぼ一貫して刊行されてきました。過去を知らないと未来は予測できないということを考えると、 この継続性は非常に有益な特長です。

 その網羅性も特長のひとつです。 言うまでもなく、 全上場会社が1冊にまとまっている企業情報誌は世界でも本書だけです。 インターネットでも企業情報を得ることはできますが、 企業を特定して検索するスタイルですから、 四季報の一覧性や網羅性には遠く及びません。

 3番目の特長は先見性です。 今でこそ四半期開示は一般的ですが、 本書では、 日本経済の黎明期からその重要性を認識して掲載してきました。 また、 四季報には 「今期」 と 「来期」 の独自2期予想が掲載されています。 当たるかどうかはともかくとして、 経済と株式のプロフェッショナルである四季報の記者が3,800社超の全上場企業について予想記事を書いていることに価値があると考えています。

 

予見的ワードから世の中の変化に気づく

 世間では物価の高騰やインフレが話題となっていますが、 本書では2022年1集 (新春号 / 2021年12月発売) のウッドワン〔7898〕の記事に、早くも「インフレ起因のコスト増」 という言葉が記載されています。 新聞などで物価高やインフレが報じられるよりもずっと前の時期です。

 本書を長く読み続けていると、 こういった記載にピンとくるようになりますし、 バックナンバーを読み返すと、 予見的なワードが随所に記載されていることがわかります。 パラパラと読んで、 「おや?」 と思った箇所に付箋を貼る作業を続けていくと、 世の中の変化に気づくようになります。 株式投資をするにあたっては、 この 「気づき」 が最も重要です。 世の中全体の変化に気づくことで初めて、 将来性のある企業を発掘することができるのです。

 また、こうした 「気づき」 をきっかけに、 他のメディアやセミナーなどを通じて、 その企業のビジネスモデルや強み、 足元の業績、今後の成長戦略などを深掘りしていくと、 自分なりの分析ができてきます。さらに、サプライチェーンの観点などから見て、 関連企業の動向などをチェックしてみると、 気になる会社が改めて登場してくるなど、 ご自身の企業研究に深みや広がりが出てくるでしょう。

 

インフレは株価のポジティブ要素

 消費者物価指数がプラスに転じ、 2023年の日本経済は、 いよいよインフレに転換しようとしています。 インフレが進行している時、 株価はほぼ必ず上昇するものです。 過去の株式市場を振り返っても、 デフレからインフレに転換するなかで、 株価が急騰した銘柄はたくさんあります。 日本経済は二十数年にわたるデフレを経験したために、 深刻なデフレマインドに陥っている感がありますが、 もっとインフレをポジティブに捉えるべきです。 

 また、 かねて私はジャポニズムが再来すると主張していますが、 コロナ禍や米中新冷戦の影響で、 それまで中国に向けられていた投資が日本に戻ってくる可能性が高まるなど、 日本回帰の動きが目立つようになってきています。 1860年代から世界を席巻したジャポニズムは約50年続きましたが、 今回の 「ネオ ・ ジャポニズム」 も長期にわたって日本株を大きく押し上げることでしょう。 
 本書で得た気づきをより深く・広くしていくと日本企業への理解が深まり、 ひいては日本のことが好きになってくるはずです。


 

テーマ1 投資環境「2023年の世界情勢と日本株」を読む
テーマ2 国策銘柄「2023年の政策動向から見た注目銘柄」を読む
テーマ3 バリュー株「2023年に期待できるバリュー株銘柄」を読む
テーマ5 株主優待「2023年に優待女子が気になる優待銘柄5選」を読む

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