父親の影響で高校生の頃から株式投資を始め、現在は優待銘柄を中心に約100銘柄を保有しているという“優待女子”の小森美紀さん。
そんな小森さんに、2023年の投資対象として気になった優待銘柄を5銘柄ピックアップしてもらいました。
※2022年4月1日から同年11月末までに株主優待制度の新設、拡充を公表した企業のなかから選定
※本文中の銘柄名をクリックすると株主優待制度の詳細を確認できます
拡充銘柄は長期保有優遇制度に着目
――まずは株主優待制度を拡充した企業のなかから、小森さんの注目銘柄をご紹介いただけますか?
1社目はOATアグリオ〔4979〕です。
農薬、肥料、栽培システムの開発・製造の会社で、優待内容は、家庭園芸用製品(自社グループ製品)と、1年以上の継続保有で1,000円分のQUOカードの追加進呈でした。それが今回の拡充(*1)により、さらに3年以上の継続保有で3,000円分のQUOカードが追加進呈されることになりました。
私は長期保有が基本スタンスですし、優待をもらえる最低投資金額が約16万円(*2)と(長期保有優遇の優待による)リターンも高いので選びました。
*1 拡充リリース日:2022年11月9日
*2 参考株価1,614円/2022年12月9日終値
――長期保有優遇に魅力を感じたわけですね?
もちろん短期売買もしますけど、短期はあまり好きじゃないんですね。長期保有前提だと、株価が下がっている時でも焦らず見ていられて気持ちが楽なんです。
同じく長期保有優遇の拡充という理由で注目したのが、農業や建設といった分野の原動機などを製造・販売している丸山製作所〔6316〕(*3)です。
長期保有優遇といっても、多いのは「1年以上」、長くても「3年以上」という感じなのですが、この銘柄は「7年以上」まであります。
100株を7年以上保有すれば5,000円分のQUOカードがいただける! けっこう私は10年とか保有するので、これはありがたいですね。
配当利回りは約3.6%(*4)で、配当金もいいです。
*3 拡充リリース日:2022年11月14日
*4 2022年12月9日終値1,541円、会社予想1株配当55.0円にて算出
小森流優待銘柄投資3つのルール
――2社ともQUOカードですが、お好きなんですか、QUOカード?
マイ・ルールがありまして、それは、
① 1回の投資金額は10万円前後、高くても30万円まで
② 配当金と優待品(換算金額)を合わせた投資リターンが年率5%以上
③ 優待取得最低投資金額が10万円以下で優待品がQUOカードなら買い
というものです。
特に3つ目のルールは、ちょっとしたお買い物感覚で投資できるので、結果としてQUOカードの銘柄が増えていきました。
――業界や企業の知識がなくても、この3つの条件に合えば投資するんですか?
私の場合、自分の好みを優先して投資すると、たいてい失敗するんです。だから、こうしたルールを決めて投資しています。
それと、優待品がQUOカードの会社はBtoB企業が多いので、株式投資が普段あまりなじみのない会社のことを知るきっかけにもなっています。
――優待品のQUOカードが、知らない企業との縁結びになっている(笑)。
投資したあとにいろいろ調べて、「へー、こんなおもしろい事業があるんだ!」という感じです(笑)。
それに、10万円以下で買える銘柄は成長途上の会社が多いので、数年後にすごく値上がりすることもあります。
これまでにテンバガー(*5)もけっこうありましたよ。
*5 株価が10倍になった銘柄、なりそうな銘柄のこと
QUOカード以外で気になる優待品は?
――新設銘柄ではどの会社が気になりましたか?
生損保や銀行向け資産運用、融資システムサービス提供が主力のエックスネット〔4762〕(*6)です。
これも「10万円以下(*7)でQUOカード」の条件に合った銘柄です。500円分のQUOカードが年に2回いただけるのがうれしいですね。
*6 新設リリース日:2022年6月28日
*7 インタビュー時点の株価での計算。参考株価1,003円/2022年12月9日終値
――優待品がQUOカード以外で気になった銘柄はありましたか?
化粧品メーカーのアクシージア〔4936〕(*8)ですね。スキンケア化粧品などの自社製品が優待品で、投資金額も14万円(*9)ほどと手頃なので選びました。
スキンケア化粧品は毎日使う物だし、商品の値段も高いので、それを優待品でいただけるのはうれしいですね。
*8 新設リリース日:2022年5月18日
*9 参考株価1,429円/2022年12月9日終値
――一般的に「消え物」は優待品でも人気ですよね。ほかに何か目新しい優待品はありましたか?
「こんなのがあるんだ!」と思ったのは、中西製作所〔5941〕の自社オリジナルデザインマックカード(*10)。「マックカード」というのは、全国のマクドナルド店舗で利用できる商品券だそうです。
この会社は業務用厨房機器メーカーで、 外食産業向けではマクドナルドが有力顧客ということでマックカードが優待品になっているそうです。
――「マックカード」という物があることを初めて知りました。
私もそうでした(笑)。
でも、知った時に「これは、けっこう使い勝手がいいかも」と思いました。外出先でコーヒーブレークする時、私はよくファストフード店を利用するのですが、それに使えるな……と。
中西製作所も長期保有優遇制度を導入していて、100株で1,000円分が、1年以上で倍の2,000円分に、2年以上で3倍の3,000円分に増えるのも魅力的です。
――これで5銘柄すべて紹介いただきました。最後に、小森さん流の2023年の優待銘柄投資の楽しみ方をお聞かせください。
株主優待制度は、新設や拡充だけではなくて、会社の都合で廃止することもあります。ですから、いつも「楽しめる時に楽しむ」という姿勢でいます。2023年もこれは変わりませんね。
私は株価を毎日ウオッチしているわけでもないし、投資に回せる資金だってそんなにありません。そんなライトな投資家である私には、やっぱり優待銘柄が一番合っているんだなぁと思います。
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