2023年4月、「月島機械」は持株会社体制へ移行し「月島ホールディングス」が誕生した。「東京月島機械製作所」として創業した1905(明治38)年は日本の歴史が大きく動く、文字通り激動の時代であったが、同社はものづくりの力で時代の荒波を乗り越え、長きにわたって新たなステージを開拓し続けてきた。
新体制「月島ホールディングス」の誕生とともにバトンを受け取った“第一走者”川﨑淳社長に今後の展望や方針をお聞きした。
中心事業は水環境と産業の2本柱
――改めて、貴社の事業概要を教えてください。
川﨑社長(以下、川﨑) 当社グループは、日常生活に欠かせない浄水場や下水処理場向けに設備とサービスを提供する水環境事業と、産業の基盤となる機械・プラントや環境保全に貢献する設備などを提供する産業事業の2本柱で事業を展開しています。
水環境事業では、下水処理場における汚泥処理を得意としており、近年は下水汚泥から再生可能エネルギーとなる電気や固形燃料を作り出す事業に注力しています。
産業事業では、最近は急速に拡大する二次電池関連の事業拡大と技術開発に力を入れており、当社グループの技術で脱炭素社会に貢献します。
業績の振り返りと2024年3月期の見通し
――2023年3月期決算の振り返りと2024年3月期決算(計画)を教えてください。
川﨑 2023年3月期の連結での実績においては、豊富な受注残高を背景に、売上高は977億円(前期比5.1%増)となりました。
しかし、一過性の要因および低採算案件の進捗により、営業利益は50億円(同12.1%減)となりました。現在は解消またはそのめどが立っていますが、一過性の要因とは以下の3点でした。
1.2022年4月より運用開始した物流施設のフリーレント
2.廃棄物処理事業を行う子会社の設備更新
3.持株会社への移行に伴う事業再編費用
2024年3月期の計画は過去最高の受注残高に加え、JFEエンジニアリングとの国内水エンジニアリング事業の統合効果により、売上高の計画は1,300億円(前期比33%増)です。また、増収効果および前期に発生した一過性の要因の解消により、営業利益の計画は70億円(同39.9%増)です。
2023年4月、「月島ホールディングス株式会社」に
――新体制移行後の変化などをお話しください。
川﨑 当社グループは2023年4月に持株会社体制へ移行し、社名を「月島ホールディングス株式会社」に変更しました。新体制のもと、2023年5月に中期経営計画(2024年3月期~2027年3月期)および2030年の長期ビジョン(豊かな生活・文化の創造に貢献し、快適でサステナブルな社会を実現する)を策定しました。
JFEエンジニアリングとの国内水エンジニアリング事業の統合効果に加え、成長が見込める官民連携事業や電池ビジネスを強化し、脱炭素社会に貢献する環境ビジネスなどの付加価値の高い事業領域を拡充することで、中期経営計画最終年度の2027年3月期に連結の売上高1,600億円、営業利益120億円、当期純利益70億円を目指します。
資本効率の向上と株主還元の拡充
――中期経営計画では基本方針のひとつに「資本効率の向上と株主還元の拡充」があげられていました。詳しく教えてください。
川﨑 中期経営計画では、新たな経営指標として、ROIC(投下資本利益率|詳細)とROE(自己資本利益率|詳細)を設定し、キャピタルアロケーション(経営資源としての投資配分)を策定しました。現状、当社のROICは3%台、ROEは5%台ですが、2024年3月期にはROICは4%以上、ROEは5%以上を、2027年3月期にはROICは7%以上、ROEは8%以上を目指します。資本効率の向上を意識した資本政策を実行し、ROEの継続的向上を通じてPBRの向上を実現します。
株主還元の方針は、配当性向40%以上、総還元性向50%以上を目標とし、安定的な増配と適時適切な自己株式の取得により、株主還元の拡充に努めます。
Check! 株主優待情報はこちら⇒知って得する株主優待|6332 月島ホールディングス
●会社概要(2023年4月1日現在)
概要 | |
---|---|
|
月島ホールディングス株式会社 TSUKISHIMA HOLDINGS CO., LTD. |
|
機械 |
|
1905(明治38)年8月 |
|
3月 |
|
東証プライム |
|
代表取締役社長 川﨑 淳 |
|
6,646百万円百万円 |
|
45,625千株 |
|
単体593人/連結2,839人 (2023年3月末時点) |
《編集タイアップ広告》