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個人投資家“本音トーク”(後編)

【第1特集】個人投資家座談会
“私”の株式投資の楽しみ方
個人投資家“本音トーク”(後編)

2022年7月15日
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30代から60代までの男女4人の個人投資家(MIR@I会員)の方々にお集まりいただき、本音トーク満載の座談会を開催。前編、後編の2回に分けて、銘柄選定で重視するポイントや企業研究方法といった投資ライフについて語り合っていただきました。
進行役は、ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長・櫻井英明氏が務めます。
後編では、株式投資を行う目的などについてお聞きしました。


■参加者(MIR@I会員)の皆さん

Cさん 30代男性 (上掲写真右奥)
会社員。株式投資歴10年未満。配当利回り重視

Sさん 40代女性 (上掲写真左奥)
会社員。株式投資歴10年以上。配当利回り重視

Tさん 50代男性 (上掲写真右手前)
会社員。株式投資歴10年以上。値上がり追求

Kさん 60代女性 (上掲写真左手前)
会社員。株式投資歴10年未満。配当利回り重視

MIR@Iとは、野村IRが運営する会員制の投資家向け情報サービス

 
■司会



ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

櫻井英明(さくらい・えいめい)氏


1980年明治大学卒。機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly」編集長などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。


■開催日:2022年7月1日

※本文中の発言はすべて、2022年7月1日時点での各人の個人的見解によるものです。
 

 

銘柄選定で活用する情報源は?

櫻井氏 後場は前場とは逆の順序で、Kさんからお話をお聞きしていきます。皆さんは、銘柄選定の際に、どのような情報源を活用していますか?

Kさん パソコンとスマホを使って、日経電子版などのニュース記事や、TOKYO MX(東京メトロポリタンテレビジョン)の株価情報番組「東京マーケットワイド」、投資系YouTube動画などから情報を得ています。それと最近は、個人投資家向け説明会もネットで見られるようになっているので、個別企業についてはこれも利用しています。ネットだとテレワーク中でも見られるので便利です。

櫻井氏 「テレワーク中に」ですか! 匿名座談会だからこその発言ですね(笑)。ネットの説明会はオンデマンド(録画)配信ですか?

Kさん ライブ配信が多いですね。オンラインで自宅から見られて便利だし、すごくおもしろいです。特に投資家からの質問がおもしろい。私も質問したいなと思います。投資系YouTubeについては、登録チャンネルがどんどん増えている状態です。

櫻井氏 ちなみに「東京マーケットワイド」には私も出演しています。

Kさん それで声に聞き覚えがあったんですね。実は「東京マーケットワイド」は、映像を見ずに音声だけを聞いています。テレワークの邪魔にならないように(笑)

60代女性、Kさん

Tさん 私の場合、気になる銘柄は、まず『会社四季報』(東洋経済新報社)でチェックします。それと、Kさんと同じく個人投資家向け説明会を見るようにしている。説明会の良さは新しい会社との出合いがあることですね。例えば、それほど大きくない規模の会社なのに社長自らがちゃんと説明していておもしろいとか……。初めて社名を聞く企業であっても、個人投資家に対する姿勢が凄くよくわかります。

50代男性、Tさん

Sさん 『アイアールmagazine』が役に立っています。『会社四季報』も読んだことがないし、自分から情報をとりにいく気構えがないので、MIR@Iのメールでお知らせが来ていろいろな会社の情報が読めるのがいいです。MIR@I会員になったことで、毎日来るメールが楽しみになっています。好きな記事は株主優待関係のものです。桐谷(広人)さんや小森(美紀)さんの記事を参考にしています。毎日、株価で一喜一憂していたら神経が疲れそうなので、今くらいの緩さが私にはちょうどいいかなと思っています。

40代女性、Sさん

Cさん 私は『会社四季報』自体は見ませんが、証券会社のオンラインサービスの個別銘柄情報ページにある四季報情報は参考にします。それと私も、個人投資家向け説明会はよく見ます。説明会では、過去の実績よりも未来の話を語る会社のほうが有望だと感じます。ネット上の説明会は、時間が合えば見るようにしています。

30代男性、Cさん

櫻井氏 株価チャートや決算短信なども見ますか?

Kさん 株価チャートは、1年前、2年前からの動きを参考にします。

Tさん 私は株価チャートをぜんぜん見ません。データで勝負してもプロには勝てないと思うからです。決算短信はよく見ます。特に業績予想は注目します。「この会社はできるだけ業績の上方修正をしたくないんだな」とか、業績予想には会社の性格が表れると感じています。

Sさん 私は、持っている株については、株価チャートも決算短信も確認します。好きな会社のことが気になるので……。

Cさん 注目している会社の決算短信は見ます。注目するのは、増益や増配をしているかといった点です。株価チャートは、売買の際に確認します。200日移動平均線で1年間の値動きをチェックします。
 

あなたにとって株式投資を行う目的とは?

櫻井氏 皆さんにとって株式投資を行う目的とは何でしょう?

Kさん 老後資金の確保です。配当金だけでも老後のお小遣いくらいは賄えるかなと……。それと脳トレ。もともと経済とか経営ってちんぷんかんぷんだったんですけど、株式投資を始めてから社会や企業の動きと株価が関係していることが分かっておもしろいなと感じています。

Tさん 私は、現在の歴史的な低金利のなかにあって、株式投資が比較的有効な資産形成方法だと思っているからです。配当利回りが4~5%ある銘柄や、高い銘柄だと10%もあって、銀行預金金利と比べて圧倒的に高い。
 また、不動産投資と比べても換金性の高い点も魅力です。資産運用としての株式投資の重要性が以前より増していると思います。
 あと、これはKさんと同じ意見ですが、株式投資を通じて経済への関心が高まることも楽しみのひとつだと感じます。自分が利用しているお店の運営会社が上場企業だったりすると、その企業のサービスや商品だけでなく、経営戦略などといった別の視点から興味が湧く。経済や経営の知識は投資をやっていない人よりはあると思います。勉強しようと思ってもなかなかできないと思うのですが、株式投資を入り口にすることで結果的にそうした知識が得られています。

Sさん 私は皆さんとちょっと違っていて、好きな企業を応援することが株式投資の目的です。好きな企業を応援して、さらに配当金や株主優待もいただける。自分が株を持っている企業の商品が、どんどん可愛いと思えてくるんですね。

櫻井氏 幸せな投資をしていますね~。持っている株を売れないのでは?

Sさん 売らずにずっと持っています。好きな会社の株なので、みんな残しておきたい(笑)

Cさん 私が株式投資をする目的は、儲けるためです。インカムゲイン、キャピタルゲイン、株主優待などで得をすると思えるから株を買う。もちろんリスクもあります。過去には失敗して損切りも経験していますが、それはよく知らない会社だったから。知らない会社の株を安易に買ってはダメだなと痛感させられましたし、それ以来、しっかりと勉強するようになりました。目標は、自分の前年の運用成績よりも儲けを出すことですね。毎年、対前年比でプラスを続けることを目指しています。
 

櫻井英明氏の後編総括

櫻井氏 皆さん、お疲れさまでした。最後に私から総括を述べさせていただきます。

 情報源については、株価チャートと決算短信の私なりの読み方をご紹介します。
 まず、株価チャートは移動平均線だけを見ています。5日線、25日線、75日線、200日線の4本で上昇か下降かを見ます。5日線からは相場の一時的な「感情」が見えてきます。25日線では、「人気」の度合いを見ます。75日線は「需給」を、200日線は「景気」の動きを表しています。昔の投資家は、チャートを手書きしていたんですよ。それが今は簡単に手に入る。便利なものは使えばいいというのが私の見解です。

 決算短信の見方については、まず今期通期予想を見ます。さらに予想の下の修正の「有」「無」を確認して、「有」なら過去の予想を見ます。そして、添付資料の「1.経営成績等の概況 (4)今後の見通し」を読むようにしています。

 株式投資の目的については、Cさんの言うとおり「金儲け」の要素は外せないと思います。
 Kさんも、老後資金のために株式投資をされていると言っていましたが、ちゃんと資産運用しておかないと老後の生活は厳しいと感じます。これは切実な問題です。

 一方でCさんは、株式投資のリスクにも触れていました。
 市場関係者は、よく「注意しましょう」と言います。この言葉を翻訳すると「売っておきなさい」という意味。株式投資は「買い」より「売り」のタイミングのほうが難しいんです。ですからリスク回避のためにも、「何%下がったら無条件で損切りする」とか「天井を付けて落ち始めてきたと感じたら利食いする」などといった自分なりのルールを決めておくといいでしょう。

 そして、一度決めたルールは、例外を作らず、常に守る。
 ただ、この「ルールを守る」ということが、意外と難しいんですけどね。

座談会前編で登場した銘柄メモ  

 
※参加者個人の見解によるものです
※銘柄名をクリックすると野村證券の銘柄詳細ページが開き株価がチェックできます 
      
証券コード
銘柄名
業種 コメント
3197
すかいらーく
ホールディングス
小売業 「勤務先の近くにあってお昼によく行きます。コロナ禍で空席が目立つので応援する気持ちで投資!」(Sさん)
4502
武田薬品工業
医薬品 「配当利回りも5%近くで高いし、開発力も高く経営が安定しているイメージ」(Sさん)
4578
大塚
ホールディングス
医薬品 「経営が安定してそうだし、同社の栄養ドリンクをよく買うので(笑)」(Sさん)
7267
本田技研工業
輸送用機器 「自宅の近くに社屋があったので、小さい頃から好きな会社」(Sさん)
8153
モスフードサービス
卸売業 「ハンバーガーが小さくなっても値上げされても食べに行きますし、業績が悪くなっても株を買い増して応援したい」(Sさん)
9101
日本郵船
海運業 「ここ最近は、配当重視で買うことが多くなっています。(略)高いと10%超なんていう銘柄もあります」(Tさん)
9104
商船三井
海運業 「マネーゲームが苦手なので結果的に高配当利回り銘柄の長期保有になる感じ」(Tさん)
9432
日本電信電話
情報・通信 「NTT(日本電信電話)は(略)高いイメージがあったけど実際は(PERが12倍弱と)割安だと知り、改めて注目」(Sさん)
「通信はNTTの一択かな」(Kさん)

 

第1特集 個人投資家座談会 私”の株式投資の楽しみ方
個人投資家“本音トーク”(前半)
2022年 個人投資家が投資した&投資したい銘柄20

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