宮城県仙台市に本社を構え、 食品軽包装資材卸業界で唯一*の上場企業として、 着実な成長を続ける株式会社高速。 その指揮官である赫裕規社長は、 2022年8月にアイアールmagazineオンラインの取材を受けてくださったが、 約7カ月を経て再びのご登場。 今回は、 人気エコノミストの櫻井英明氏がインタビュアーとなり、 高速が今後も成長を続けることができるかを赫社長に聞いた。 *高速調べ
左:ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長 櫻井英明(さくらい・えいめい)氏
2,000社もあって、 上場企業はなぜ1社だけ?
櫻井英明氏 (以下、 櫻井) 食品軽包装資材卸は、 業界として見ると同業他社が2,000社以上あるとのことですが、 上場しているのは貴社だけですね。 これは何か、 業界特有の傾向があるのでしょうか。
赫 裕規社長 (以下、 赫) 業界の特徴として、 圧倒的に中小企業が多いということがあります。 紙問屋が包装資材も扱うとか、 折箱を作っているメーカーが自社の折箱を販売しながら仕入れ商品も販売するといった形で始まった会社がほとんどです。 家業のような形で始めて、 地元のスーパーと取引し、 そのスーパーが店舗展開で広げていった際には営業所を増やしていくけれども、 全国に出ていくわけではないという会社が大半ですね。
櫻井 地域密着型の産業という感じですね。
赫 当社でも、 営業所を出して採算に乗せるには、 ある程度の時間がかかります。 そのくらい、 取引を拡大するのが難しいし、 非常にニッチな業界です。 そういったことから、 お世話になっている地元のお客さまを大事にするという考え方の会社が多いです。
櫻井 そうしますと、 貴社の900億円超という売上高は、 ものすごい積み上げですね。
赫 社員がみんなでがんばって、 地道に積み上げてきた成果です。 当社の売上高の年平均成長率は3%程度で、 それが5%伸びたとなると 「よくやった」という感じです。 おかげさまで売上高の分母が大きいため、 3%伸びても30億円近く伸びますし、 5%だと50億円近い伸びになります。 このような成長をお見せできるのは、 これまで先輩方がコツコツ努力してきた成果だと思っています。
今後も成長を続けられそうですか?
櫻井 1966年に創業されて以来、 減収はわずかに1度だけ(2015年3月期)という驚異的な業績を続けられていますが、 今後も増収を続けることはできそうですか。
赫 油断をせずに、 これまで通り着実に進めていけば、 売上高を伸ばしつづけることは十分可能だと考えています。 当社が対象とする食品軽包装資材の市場は1.6兆~2兆円と想定され、 この市場は少しずつ拡大しています。 そのなかで当社はトップシェア*なので、 その優位性を活かしていけばまだまだ伸ばせますし、 トップシェアでありながら市場占有率が5%程度にすぎないので、 まだまだお取引できる先があります。 *高速調べ
櫻井 創業以来、 ずっと増収を続けてこられたのには、 何か秘訣があるのですか。
赫 当社の場合、 レジスターの販売から始まっているというところが大きいです。 レジスターは1回売ってしまうとリピート需要は当分ありませんから、 新しい先に売りにいかないといけません。 そういう意味では、 私たちは新たな顧客開拓が得意で、 それがあったからこそ今の売上が作れていると考えています。 創業者が 「新規開拓なくして成長なし」 と言い続けてきた、 その考え方が現在でも根付いているということです。
櫻井 既存で来ていると、 従来のものを変えるのはなかなか難しいですが、 新規の場合だと、 創意工夫がたくさんできると思います。 そのあたりはいかがでしょう。
赫 例えばスーパーに行って、 「通常使われているトレーをこちらに変えませんか」 と提案しても、 「うちは間に合っているよ」という話になりますよね。 ただ、 当社は14万アイテムを超える取扱品目がありますので、 「トレーではなく、 こんなおもしろい商品があるのですが」 と、 違う視点から提案ができます。 当社は全国で広域的に営業をしているので、 他のエリアでの成功例を採用できるという強みもあります。
脱プラの流れには、どのような対策を?
櫻井 持続的な成長をされている一方で、 世の中の脱プラスチックの動きは貴社の業績にとってマイナス要因にはなりませんか。
赫 プラスチック削減の流れは変わらないと思いますが、 衛生上、 食品を守る面や、 コストパフォーマンスも含めて考えると、 プラスチックはやはりすばらしい素材です。 必要とされる部分ではプラスチックは使われますし、 バイオマスといわれる植物由来のプラスチックなどさまざまな素材の普及も進んでいます。 ただ、 包材全体でいいますと、 プラスチック自体が減っても、 代替として紙やその他の素材が増えるので、 当社の業績への影響は軽微だと考えています。
櫻井 そこはあまり心配しなくてもよいということですね。 環境ということでは、 リサイクルの問題も出てきます。
赫 容器、 トレーはエフピコ[7947] というトップメーカーがありますが、 当社がスーパーなどの店舗から回収してきたものを当社の営業所でストックして、 エフピコの当社への納品便で回収するという形でリサイクルして、 それをまたトレーに戻すというところまで取り組まれています。 そういう循環型のリサイクルが確立されているので、 違うものに変えていく必要はあまりないと考えています。 エフピコ以外のメーカーもさまざまな検討をされていますし、 当社におけるリサイクル率をもっと高めていければと思います。
櫻井 全面的にプラスチックがだめということではなくて、 使い道、 使い方、 それからリサイクルを入れていけばいいわけですね。 これからもいろいろ創意工夫ができるということで、 創業60周年 (2026年) に向けての高速グループビジョンの進捗は順調と考えてよろしいですか。
赫 おかげさまで、 掲げている数字の進捗を少し前倒しで達成できそうな形で推移しています。 コロナ禍の最初にはマイナス影響がありましたが、 その後は巣ごもり需要でプラスの影響があるなど、 うまくバランスをとりながらやってきていて、 コロナに関しては今後も大きな影響はないと考えています。 阻害要因があるとすれば、 2022年に非常に影響を受けた資源高ですね。 お客さまが包装資材もコストと捉えているのは事実ですので、 少しでもコストを抑えられるような提案をしてお客さまに認めていただけるよう、 真摯に取り組んでいきます。
株主優待導入に込めた思いは?
櫻井 2023年3月期から株主優待制度がスタートするということですが、 どのような思いが込められていますか。
赫 当社のお客さまの商品を掲載したカタログギフトをお届けします。 お客さまの商品を通じて、 当社のお客さまや当社のことを株主の皆さまに身近に感じていただきたいという思いを込めています。 お客さまと株主の皆さまの双方に対するファンづくりの一環という面があります。
櫻井 本来の意味での、 いい形の優待ですね。 また、 これもすばらしいと思いますが、 2022年3月期で18期連続増配を達成されていますね。 日本では、 花王 [4452] が33期連続とずば抜けていますが、 18期でも上位に入るでしょう?
赫 たしか、 16位ぐらいです。 中期経営計画の期間内は、 数値目標として増配継続を掲げているので当たり前ですが、 それ以降も増配を続けられるようにしっかり取り組んでいきます。
櫻井 いろいろなことが考えられていて、 どのような局面になっても対応力のある企業と捉えてよろしいですね。 消費者が毎日必要とするものを扱われているということは、 逆にいえば止められないですね。
赫 そういう意味では、 サプライチェーンの一翼を担っているので、 責任も重いところがあります。 当社が包材を持っていかなくてお客さまが営業できないと、 地域での食が流通できなくなるので、 そうならないようにしっかり責任感を持ってやっていきたいと思っています。
櫻井 本当に重要な業務をされていますし、 社会から必要とされている部分があります。 特に、 環境問題に絡んで明確な未来像を持たなければいけない立場にありますね。 最後に、 赫社長から読者の皆さまにメッセージをいただけますか。
赫 当社はコツコツ地道に成長してきていますし、 これからも成長していける会社だと考えています。 いきなり株価が倍になることはないと思いますが、 長く持っていただいて、 当社の成長を応援していただけるようにがんばっていきたいと思います。 ぜひ、 ポートフォリオの一角として当社に興味を持っていただけたら幸いです。
●会社概要(2022年12月31日現在)
概要 | |
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商号 | 株式会社 高速 KOHSOKU CORPORATION |
業種 | 卸売業 |
設立 | 1966(昭和41)年2月 |
決算月 | 3月 |
市場 | 東証プライム |
代表者 | 代表取締役 社長執行役員 赫 裕規 |
資本金 | 1,690百万円 |
発行済株式数 | 20,973千株 |
従業員数 | 2,210人(うち正社員1,001人) ※2022年3月31日現在 |
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