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経済社会の根幹を担う企業<br>そのプライドを胸に刻んで──

エコノミスト櫻井英明が企業の核心に迫る 経済社会の根幹を担う企業
そのプライドを胸に刻んで──

2022年10月11日
9302 三井倉庫ホールディングス
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1909年の創業以来、 1世紀以上にわたって日本と世界の物流を支えてきた三井倉庫グループ。 2022年5月には、 新たなグループ理念と 「中期経営計画2022」 を公表し、 本格攻勢に打って出ることを明らかにしました。 そこで、 ストックウェザー 「兜町カタリスト」 編集長の櫻井英明氏が、 ここ数年の三井倉庫グループの取り組みや今後の戦略などについて、 古賀博文社長に聞きました。

古賀 博文

古賀 博文
Hirobumi Koga
代表取締役社長

櫻井 英明

櫻井 英明
Eimei Sakurai
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

全社員が危機感を共有し、赤字から急回復

櫻井英明氏(以下、 櫻井) 前期(2022年3月期)は売上高も利益も過去最高を更新されましたが、 この強さの背景はどのあたりにあるのでしょうか。

古賀博文社長(以下、 古賀) 2022年3月期は連結営業利益が259億円でしたが、 このうちの約89億円は船落ちなどの特需なので、 実力的には170億円です。 それでも「中期経営計画2017」 の数値目標だった100億円は大幅に上回りました。 コスト削減をしっかり進めたことや、 総合物流企業として業際(ぎょうぎわ) を埋めたことなど、 あらゆる施策が奏功した結果です。

 

櫻井 「船落ち」 とは、 海運市況の混乱などに伴って、 海上貨物の積み残しを航空輸送で運ぶことですね。 それから、 「業際を埋めた」 というのは、 グループの連携を強化するため、 ホールディングス内にグループ横断機能を新設し、 事業間の隙間を埋めたということでしょうか。 物流業界の用語は独特でおもしろいですね。

古賀 ご解説をありがとうございます。 確かに、 一つひとつの地道な取り組みが実を結んだのですが、 業績回復の要因として非常に大きかったのは、 社員が一丸となったこと ( "One三井倉庫" ) だと思います。 2017年6月に私が社長に就任した時は、 かなりの危機感がありました。 この危機感をグループ全社員で共有し、 意識や行動に変化が起きた結果がここ数年の業績だといえます。

 

櫻井 危機感とは、 どういうことですか?

古賀 2017年3月期の決算で、 当社は16年ぶりに最終赤字に転落してしまいました。 物流事業の好調などによって経常利益は増益となったのですが、 過去に買収した物流会社などの評価を慎重に見直したところ、 のれんなどの減損損失が膨らんでしまったのです。

 

櫻井 そこで、 業績改善の担い手として、 三井住友銀行から来てまだ3年ほどの古賀さんに白羽の矢が立ったのですね。 赤字決算の翌期からスタートした「中期経営計画2017」 では、 どのような構造改革を行ったのでしょうか。 

古賀 前半3年間で各物流事業の筋肉質化を図るなど「反転」を進め、 後半の2年間は 「持続的成長期」 と位置付けて、 圧倒的な現場力の構築、 そして企業風土改革などを推進しました。 また、 事業会社間での横連携を強めるなどグループ経営の強化を図ったほか、 徹底的な 「見える化」 も進めました。

 

櫻井 商慣習に隠れていた無駄を徹底的に可視化したことで、 高収益企業へと華麗なる転身を遂げられたのですね。 先ほど、 社員の方々の意識に変化が起きたとおっしゃいましたが、 これはつまり、 “勝つ味”を覚えた、 ということになるでしょうか。

古賀 当社は数年前までは同業他社よりも一歩遅れていろいろなことをやっていましたが、 今は逆に、 クオーターぐらい先行している感じになっています。 マスコミにも良いことを書いてもらえるようになりましたし、 お客さまにも同業の方にも褒められて、 社員のモチベーションが上がったといえるでしょうね。 採用面でも、 「三井倉庫に入りたい」 という人が増えてきました。

 

「中期経営計画2022」を強い決意でやり遂げる

櫻井 5年間で過去最高業績まで達成され、 2022年5月には、 満を持して 「中期経営計画2022」 を策定されました。

古賀 日本には物流会社がたくさんありますが、 倉庫もあって輸送もできて、 船もあってエアー (空輸) もできる、 本当の意味での 「総合物流企業」 はほとんどありません。 トータルパッケージを提示できる当社グループにとって、 これからの変動の時代は、 前面に出られるチャンスです。 「中期経営計画2022」 は、 きわめて大事な時期にあたります。
 

櫻井 貴社は、 100年以上にわたって、 倉庫、 港湾運送、 国際輸送といった物流事業のほか、 都市部の所有地を活用した不動産賃貸事業を手がけてこられました。 2012年から2015年にかけては、 トヨタ自動車やソニーグループの物流機能がグループ入りするなど、 物流業界におけるプレゼンスがますます高まっています。

古賀 物流企業は今後数年間で、 事業環境の変化に対応できるかできないかによって二極化していくと予想されます。 これからの数年間は、 三井倉庫グループの今後30年、 50年の成長にとって大事な礎になることは間違いないので、 非常に強い決意で 「中期経営計画2022」 をやり遂げようと思っています。 

  

櫻井 新中計の策定に際して、 貴社はグループ理念 (Purpose、 Vision、 Values) を制定されました。 Values (価値観 ・ 行動指針) のひとつに掲げられたPRIDE、 これは非常に印象深い言葉だと感じています。 

古賀 近年、 新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢など世界的な地政学リスクの高まりを受けて、 サプライチェーンの機能不全が顕在化してきました。 このような時、 私たちのようなグローバルなロジスティクスを担う企業はどのように行動すべきか。 最大の使命は、 企業活動を支える物流を止めないこと、 つまり社会を止めず、 進化をつなぐことだと再認識しました。 経済社会の根幹を担う企業であることの責任と誇りを、 PRIDEという言葉に託したわけです。

最初にお声がけをいただく会社になる

櫻井 印象的な言葉ということでは、 「中期経営計画2022」 で表明された、 First-Call Company もそうですね。

古賀 First-Call Company は、 文字通り最初にお声がけをいただく会社ということです。 ただ物を運ぶだけでなく、 企業が直面するさまざまな物流課題に真摯に向き合って、 最善のソリューションを提案する。 そうした積み重ねによって、 信頼され期待されるパートナーになることが、 当社グループがさらなる成長を実現するためのカギだと考えています。

 First-Call Company として、 今回の中計では 「グループ総合力結集によるトップライン成長」「オペレーションの競争力強化」 「深化を支える経営基盤の構築」 の3つの成長戦略を実行していき、 今後の持続的成長に向けて前中計の後半で取り組んできた施策を深化させ、 攻勢に転じます。

 なお、 連結営業利益は年率6%の成長を計画していますが、 成長戦略の推進によりトップラインの伸長などが期待できる物流事業で10%超の成長率を想定し、 これに不動産事業の収益構造改革に伴う一過性コストなどを見込んだものです。 当社は不動産事業依存からの脱却という長年の課題を完全に克服し、 物流事業が収益を牽引する形となっていますが、 今後、 不動産事業の収益構造が強化されれば、 さらなる上振れも期待できる状況にあります。


 
※2023年3月期の予想値は、2022年8月2日の公表値
※2027年3月期の数値目標は、2022年5月策定の「中期経営計画2022」より



櫻井 成長戦略の3つ目、  「深化を支える経営基盤の構築」 では、 ESGがテーマのひとつに位置付けられています。 ESGのうち E (環境) については、 どのような活動を進めますか。

古賀 自社の事業活動における環境負荷の低減も重要な取り組みですが、 三井倉庫グループが環境に対してできる最大の貢献は、 「お客さまの物流を効率化してCO2の排出量を減らす」 ことだと考えています。 例えば、 コンテナ輸送の効率化によって船を1隻削減する、 トラックを1台削減する、 あるいは共同配送の拡大によって輸送効率の向上を図る。 そういった積み重ねでお客さまの物流コストを削減できますし、 CO2の排出量も減らせます。 ビジネスと社会貢献の両輪で、 カーボンニュートラルやSDGsに寄与していくことが、 われわれにとって最重要のテーマです。




 



櫻井 2027年3月期までの5年間で1,300億円を投じるとのご計画ですが、 内訳はどのような感じでしょう。

古賀 1,300億円のうち300億円は物流倉庫の改修といった既存の投資に振り向け、 1,000億円はさらなる成長に向けた戦略投資とします。 特に、 新中計で成長戦略の柱のひとつである「DX(デジタルトランスフォーメーション)」には200億円を投じ、 ロボティクスの導入や、 サプライチェーンの情報を一元的に「見える化」するシステムの導入などを進めます。 また、 「共創」の実現に向けて、 戦略的M&Aや資本提携も積極的に検討していきます。


 

トラディショナルだが、現在も進化している

櫻井 2023年3月期は5期連続の増配を見込んでいらっしゃいますが、 貴社の株主還元についての考えをお聞かせください。

古賀 「中期経営計画2022」 では、 業績に連動した機動的な配当を行うことを新たな方針として打ち出しました。 成長戦略を進めた成果として積み上がる利益を、 配当という形で株主の皆さまに還元させていただくことが、 株主価値拡大の観点から最善だと考えました。 配当性向は、 成長のために必要となる投資の水準を踏まえて、 安定的に30%を守っていきます。

     ※2023年3月期の予想値は、2022年8月2日の公表値



櫻井 本日はいろいろお話をうかがうことができました。 最後に、 読者である個人投資家に向けてメッセージをいただけますか。

古賀 三井倉庫グループは、 1909年の創業以来、 高品質な物流サービスの提供を通じて日本と世界の経済発展に貢献してきました。 社名こそ 「倉庫」 となっていますが、 現在ではあらゆる物流ニーズにワンストップでお応えする「総合物流企業」 に進化しています。 陸 ・ 海 ・ 空のフルスペックの物流機能と、 川上から川下までの幅広いバリューチェーンの領域を担ってきた物流ノウハウ。 これらを活用して、 お客さまのサプライチェーン全体を俯瞰した、 「最適物流」 を提供できることが強みです。 トラディショナルな企業ではありますが、 ここ数年間で大きく変貌を遂げてきた企業グループでもあります。 そういったことを、 多くの方にもっと知っていただけましたら幸いです。

●会社概要(2022年3月31日現在)

商号

三井倉庫ホールディングス
MITSUI-SOKO HOLDINGS Co., Ltd.

業種

倉庫 ・ 運輸

設立

1909(明治42)年10月

決算月

3月

市場

東証プライム

代表者

代表取締役社長 古賀 博文

資本金

11,100百万円

発行済
株式数

24,883千株

従業員数

8,172人(連結)

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