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投資を軸に中期経営計画 <br />
New Challenge2026で成長を加速

IK Vision 2030達成に向けて 投資を軸に中期経営計画
New Challenge2026で成長を加速

2025年12月17日
8098 稲畑産業
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中期経営計画NC2026(New Challenge 2026)の初年度であった2025年3月期は売上高・営業利益・経常利益が過去最高を更新し、好調なスタートとなった商社「稲畑産業」。長期ビジョンIK Vision 2030で掲げた挑戦的な目標「連結売上高1兆円以上」も視野に入ってきている。

今回のレポートでは、同社の成長戦略や個人投資家にとっての魅力のひとつである株主還元などについて、稲畑社長に語っていただいた。
 

インタビューを受ける
稲畑産業株式会社 代表取締役社長執行役員
稲畑勝太郎氏(いなばた・かつたろう氏)

NC2026 初年度は好調なスタート

利益水準を一段切り上げ。成長加速に向けた取り組みも進捗

 NC2026初年度は概ね好調なスタートを切ることができました。定量面では売上高、営業利益、経常利益、当期純利益とも、NC2026初年度(2025年3月期)の計画を達成し、売上高は8,378億円、営業利益は258億円と4期連続で過去最高を更新しました。特に、営業利益は前中期経営計画最終年度の実績211億円から一段水準を切り上げることができました。

 事業面では、主力2事業である情報電子事業が、液晶・有機ELなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)関連材料を中心に、また合成樹脂事業がOA向けのプラスチック販売を中心に好調に推移し、全体をけん引しました。

 NC2026では、成長戦略として「投資の積極化による成長の加速」を掲げています。当社のコアビジネスはトレーディング(商社機能)ですが、強みを活かせる事業分野の製造・加工機能などを対象として将来に向けた投資を積極的に行い、差別化・収益性向上を図っています。
 
 NC2026初年度は、樹脂コンパウンド機能の拡充・高度化を狙いとし、株式会社ダイセルとの合弁会社「ノバセル株式会社」を設立しました。

 また、食品の加工・Eコマースなどの販売機能の強化を狙いとして、茶の栽培・製造・販売を行う「株式会社佐藤園」を子会社化し、今後の成長加速に向けた取り組みが順調に進みました。

樹脂コンパウンド:プラスチック原料に用途に合わせた顔料や添加剤を混錬・着色することで、耐熱性などの機能を付与する加工。

NC2026 2年目も業績は順調に進捗

“ありたい姿”の実現に向けた第3ステージ

 NC2026の2年目である2026年3月期の見通しは、売上高8,700億円、営業利益255億円、経常利益255億円、親会社株主に帰属する当期純利益195億円です。

 米国の関税率引き上げによる影響等により不透明な事業環境が続くなか、前年並みの利益を確保し、NC2026最終年度目標の達成確度を高める年にしたいと考えています。

「NC2026」では、よりきめの細かい成長戦略を策定

 第2四半期が終わった時点での進捗は概ね順調で、特に、各段階の利益は、見通しを上回るペースで進捗しています。
 
 事業面では、NC2026で特に成長を目指している情報電子事業の環境・エネルギー分野(太陽光発電関連、リチウムイオン電池関連材料)の需要が冴えず、また合成樹脂事業の自動車向けの需要も地域によってバラつきがあり、回復にも不透明感が残るなかにあって、十分に健闘していると思います。
 
 

成長投資について

 先ほども述べましたが、NC2026の3カ年は、さらなる「投資の積極化による成長の加速」をメインテーマに掲げています。NC2026期間中のキャピタルアロケーション(資本配分)は、3カ年で得られる想定の営業キャッシュフロー等650億円のうち、約50~60%を投資に充てる計画です。初年度は190億円の投資を実施しました。
 
 具体的な投資案件は、先述のノバセルや佐藤園のような機能の強化を狙いとするものだけでなく、半導体関連企業や再生樹脂製造を行う企業への出資など、成長市場におけるビジネス拡大の加速や、将来の成長への種まきとしての投資も行っています。
 
 今後は、これら実施済みの投資案件の着実な収益化を進めていくとともに、成長投資の機会を積極的に模索してまいります。
 


  ここで、当社の投資に対する考え方について整理しておきたいと思います。
 
 一つは顧客やメーカーの機能を部分的に代替するような、製造・加工など“機能”を強化するための投資です。機能を強化することによって事業の付加価値を高められるのと同時に、他の商社との差別化も可能になり、ビジネスの成長性や収益性も向上します。対象分野としては、自動車関連や環境関連ビジネス、食品等の生活産業ビジネスが中心となってきます。
 
 もう一つは、市場の成長性が高く、当社としても今後特に注力していきたい分野への投資です。具体的には、半導体や再生樹脂関連などが対象として考えられ、オーガニックな投資だけでは達成できないような速度での成長を目指していきます。

 また、いずれの投資も、当社が現在行っている事業とのシナジーが十分に期待でき、収益規模の拡大だけではなく、利益率の向上も見込める案件を中心に実施していく考えです。

株主還元について

 ここまで成長戦略を中心にご説明してきましたが、当社は、株主還元についても、最も重要な経営課題のひとつと考えています。

 

 株主還元については、2022年3月期から方針を大幅に拡充して「累進配当」と「総還元性向を50%程度」としました。個人投資家の皆さまからは、特に「累進配当」を高くご評価いただいており、NC2026期間中もこの方針を維持します。また、資本効率の維持・向上を目的として、機動的な自己株式取得・消却を継続していく方針です。

「統合報告書 2025」
クリックすると稲畑産業のHPより「統合報告書2025(2025年3月期)」を閲覧できます

●会社概要(2025年9月30日現在)

                                         
  概要
商号 稲畑産業株式会社
Inabata & Co., Ltd.
業種 卸売業
設立 1918年6月10日
※1890年10月1日 創業
決算月 3月
市場 東証プライム
代表者 代表取締役社長執行役員 稲畑 勝太郎
資本金 93億6千4百万円
発行済株式数 53,714千株
従業員数 4,677人※連結・2025年3月31日時点


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