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長期ビジョン(IK Vision 2030)が目指す<br>“ありたい姿”の実現に向けて

稲畑産業の成長戦略 長期ビジョン(IK Vision 2030)が目指す
“ありたい姿”の実現に向けて

2024年12月13日
8098 稲畑産業
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「化学品専門商社として、長年の業歴で培ってきた強みを生かしながら 長期ビジョンの達成を目指していく」と語る稲畑勝太郎社長。今回のレポートでは、長期ビジョン「IK Vision 2030」で目指す“ありたい姿”に向けて、第3ステージに入った新中期経営計画「NC2026」(New Challenge 2026)を中心に、稲畑産業の今後の「成長戦略」や「株主還元」などについて語っていただいた。 

代表取締役社長執行役員
稲畑勝太郎(いなばた・かつたろう)

まずは、前中期経営計画「NC2023」を振り返り

売上高、営業利益とも3期連続で過去最高を更新

 当社は、長期ビジョン「IK Vision 2030」の達成に向けた中期経営計画の第2ステージとして、2024年3月期を最終年度とする3 カ年の中期経営計画「NC2023」を推進してきました。
 定量面では、売上高がやや未達となったものの、営業利益は目標を達成し、売上高、営業利益とも3期連続で過去最高を更新することができました。 

新中期経営計画「NC2026」について

“ありたい姿”の実現に向けた第3ステージ

 2024年度からスタートした中期経営計画「NC2026」は、「IK Vision 2030」で定めた“ありたい姿”の実現に向けた第3ステージとなります。「投資の積極化による成長の加速」をメインテーマに設定し、最終年度となる2027年3月期は、売上高9,500億円、営業利益270億円を目標としています。 

 これまで当社は、どちらかというと現場主導型のマイノリティ出資を主としていましたが、前中期経営計画の「NC2023」から将来の成長に向けた投資を積極化し、3カ年の後半を中心に一定程度のM&Aや事業投資を実行しました。 

 「NC2026」では、こうした投資済みの案件を着実に収益化することに加え、さらに成長を加速させるため、重点的に取り組む事業分野や地域、投資などの対象分野まで明確にし、よりきめの細かい成長戦略を策定しました。

「NC2026」では、よりきめの細かい成長戦略を策定

 具体的には、長期ビジョンに沿った形で4つの全社の成長戦略を策定しています。各事業セグメント(情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂)の定量目標や成長戦略については「統合報告書 2024」*1をご参照ください。 

*1クリックすると稲畑産業のHPより「統合報告書2024(2024年3月期)」を閲覧できます

 まず、「連結売上高1兆円以上」達成に向け、前述のとおり投資の積極化により収益規模を拡大するとともに、既存ビジネスの利益率向上を図っていきます。特に経営資源を重点投下する事業領域として、再生可能エネルギー、リサイクル等の環境関連、NEV*2向けや電池などの自動車関連などを考えています。また、食品の加工機能強化など、生活産業ビジネスにも注力していきます。
 

 「複合機能の高度化」については、特に製造や物流機能の強化を図り、差別化や収益性向上を実現します。一例として樹脂コンパウンド事業*3があげられるのですが、当社は海外7カ国7拠点にコンパウンド生産拠点を持ち、商社系としては業界トップレベルの生産能力を有しています。顧客の製造拠点の近くで短納期、多品種少量生産などのニーズにきめ細かく対応できる点が差別化要素となり、当社の合成樹脂ビジネスの拡大に寄与してきたのですが、さらなるコンパウンド機能の高度化を狙い、豊富なノウハウを持つ株式会社ダイセルとの合弁会社を設立しました。 


 「事業ポートフォリオ」については、現在、当社の収益の柱である合成樹脂・情報電子の主要2セグメントの深耕と、これに並ぶ新たな収益の柱の育成を並行して進めていきます。主要セグメントでは、特に成長が期待できる情報電子の「環境・エネルギー分野」の売上高1,000億円、合成樹脂の「自動車分野」の売上高2,000億円*4を目標として拡大を加速していきます。新たな収益の柱としては、食品をはじめとする生活産業分野や、海外における化学品事業を、M&Aなども含めて拡大させていきます。 


 最後に「海外比率70%以上」です。現在でも当社の海外売上高比率は60%弱あり、なかでもアジア地域の人員数や拠点数が最も多く、強固な事業基盤を持っていますが、「NC2026」では、強みであるアジアのさらなる深耕に加え、世界的にも高成長が見込まれるインド、メキシコなど米州地域にも重点を置きます。同時に、持続的成長への種まきとして、東欧などの未開拓エリアへの進出も検討していきます。 

*2New Energy Vehicle(新エネルギー車。プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車の総称)
*3顧客の要望に合わせて樹脂原料に顔料や添加剤などを混錬・着色することで、耐熱性などの機能を付与する加工事業
*4いずれも2030年頃目標。2024年3月期の「環境・エネルギー分野」売上高は261億円、「自動車分野」売上高は1,314億円
 

キャピタルアロケーション・株主還元などについて

総還元性向50%程度を目安に

 ここまで成長戦略についてご説明してきましたが、当社は、株主還元についても、最も重要な経営課題のひとつと考えています。「NC2026」では3カ年で650億円程度の営業キャッシュフロー等を獲得する計画ですが、成長のための投資等に50~60%程度を、株主還元に40~50%程度を配分します。

 株主還元については、2022年3月期から方針を大幅に拡充して「累進配当」と「総還元性向を50%程度」としました。個人投資家の皆さまからは、特に「累進配当」について高くご評価をいただきましたが、「NC2026」においてもこの方針は維持します。また、資本効率の維持・向上を目的として、機動的な自己株式取得・消却を継続していく方針です。

 最後に、「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」について触れておきたいと思います。対応策の詳細は「統合報告書 2024」*5をご参照いただきたいのですが、最も重要なのは、成長施策の着実な実行により、事業価値を向上させることだと考えています。
 本日ご紹介した「NC2026」の成長戦略を着実に実施して事業価値を高め、PBR1倍を常態的に超える株価水準を早期に達成したいと考えています。

*5クリックすると稲畑産業のHPより「統合報告書2024(2024年3月期)」を閲覧できます

●会社概要(2024年9月30日現在)

                                         
  概要
商号 稲畑産業株式会社
Inabata & Co., Ltd.
業種 卸売業
設立 1918年6月10日
※1890年10月1日 創業
決算月 3月
市場 東証プライム
代表者 代表取締役社長執行役員 稲畑 勝太郎
資本金 93億6千4百万円
発行済株式数 54,714千株
従業員数 4,631人※連結・2024年3月31日時点


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