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水インフラ市場の変革追い風に<br>業績好調を維持

売上高・営業利益・受注高・受注残高の
すべてで過去最高を更新
水インフラ市場の変革追い風に
業績好調を維持

2025年10月31日
6332 月島ホールディングス
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上下水道設備を主要マーケットとする水環境事業と、産業用設備および環境・エネルギー関連設備を主要マーケットとする産業事業を主軸に展開する月島ホールディングス。
特に水環境事業は、国内インフラの老朽化による更新需要の増加が、同社にとって大きな追い風となっている。
2025年3月期決算では、売上高・営業利益・受注高・受注残高のすべてで過去最高を更新。業績好調の要因や株主還元について、川﨑淳代表取締役社長にうかがった。

川﨑 淳(かわさき・じゅん)
代表取締役社長

事業環境への追い風とM&Aによるシナジーで過去最高業績を更新

2年連続で売上高が過去最高を更新しましたが、要因は何でしょうか?

 売上高の過去最高更新は、特に水環境事業において、いくつかの要因が重なった結果だと考えています。

 まず、社会全体の動きが追い風となりました。
 国内の水インフラは老朽化が進んでおり、上下水道管の破損による漏水や道路陥没などの事故が多く発生しています。
 当社グループの事業エリアである上下水道施設においても、管路同様に老朽化による更新や修繕のニーズが高まっており、安定した受注につながっています。

 次に、2023年10月に実施したJFEエンジニアリング株式会社との事業統合は、当社グループにとって大きな転機となりました。
 この統合により、技術の相互補完やラインアップの充実に加えて、人員確保の面で強化が図られ、より大規模なプロジェクトへの対応力が向上しました。

 さらに、入札段階における脱炭素への貢献度も評価対象として重視される傾向にあることから、近年、技術開発に注力してきた地球温暖化防止技術も、案件獲得に貢献しています。

もう1つの主力事業である産業事業の業績貢献は?

 産業機械やプラントの納入を担う産業事業においても、中国経済の減速による市況低迷の影響で一時的に低調だった月島機械株式会社の受注が回復したことに加え、2020年に買収したプライミクス株式会社の攪拌機などの単体機器、さらに月島環境エンジニアリング株式会社が手がける廃棄物処理・廃ガス処理といった環境関連設備の案件獲得が進展し、業績に寄与しています。

 これら堅調な事業環境と事業拡大の取り組みをベースとして、売上高・営業利益・受注高・受注残高のすべてで過去最高を更新することができました。
 中期経営計画の最終年度である2027年3月期には、売上高1,600億円、営業利益120億円の達成を目指しています。

資本コストや株価を意識した経営への取り組み

足元の株価も好調(2025年9月下旬)です。資本コストや株価を意識した施策があれば教えてください。

 当社は、企業価値向上に向けて、資本効率の改善と株主還元の強化に取り組んでいます。

 過去にはROEの低さに起因してPBRが1倍を下回る水準で推移しており、特に総資産回転率が同業他社と比較して低かったことから、その改善が喫緊の課題であると認識していました。こうした背景を踏まえ、中期経営計画ではバランスシートマネジメントを強化し、資本構成の最適化を図っています。

 今期は、政策保有株式や物流施設の売却を実施し得られた資金を収益力強化に向けた戦略投資や株主還元へ再配分する方針です。
 具体的には、M&Aの検討に加え、新たな株主還元方針に基づく増配や120億円の自己株式取得など株主還元の強化を進めております。

 これらの施策を通じて、資本コストを意識した経営を実現し、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

2025年3月期は大幅増配! 2026年3月期も増配予定

BSマネジメント(株主資本の統制)という面では、株主還元も気になります。株主還元の方針についてお聞かせください。

 当社は、2026年3月期から株主還元方針を見直しました。
 新たに株主資本配当率(DOE)を採用し、「安定配当の水準は、DOE3.5%を下限とし、総還元性向50%以上」と定めております。

 直近では、2025年3月期に年間配当を78円と大幅に増配し、2026年3月期には創業120周年の記念配当2円を含む年間配当82円を予定しています。
 さらに、BSマネジメントの強化策として、非事業用資産である政策保有株式や物流施設の売却で得た資金をもとに、120億円の自己株式取得も実施しています。

 これらの取り組みは、当社株式への長期的な投資魅力を高めるとともに、株主の皆さまとの信頼関係をより一層深めることを目的としています。
 今後も、持続的な成長と企業価値向上に努めてまいります。

●会社概要(2025年3月31日時点)

  概要
商号
月島ホールディングス株式会社
TSUKISHIMA HOLDINGS CO., LTD.
業種
機械
創業
1905(明治38)年8月
決算月
3月
市場
東証プライム
代表者
代表取締役社長 川﨑 淳
資本金
6,646百万円
発行済株式数
44,125千株
従業員数
単体110人/連結3,510人


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