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積極果敢なグローバル展開で<br />
さらなる成長を目指す

目標海外売上高比率50%超を2期前倒しで達成! 積極果敢なグローバル展開で
さらなる成長を目指す

2025年1月17日
4559 ゼリア新薬工業
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2期連続で過去最高業績を達成しているゼリア新薬工業。2025年3月期の予想においても「3期連続での過去最高業績更新を見込む」としている。
好業績を牽引しているのが、欧州を中心に展開している海外事業だ。2026年3月期を最終年度とした中期経営計画では、目標として連結売上高900億円、海外売上高比率50%以上を掲げてきたが、すでに海外売上高比率は2024年3月期に51.5%と前倒しで達成した。
成長ドライバーとなっている海外事業を中心にゼリア新薬工業の成長戦略を紹介する。

3期連続での過去最高業績更新を見込む

 ゼリア新薬工業の2024年3月期決算は、連結売上高757億2,500万円、連結経常利益85億1,300万円で、2期連続の過去最高業績を達成した。
 さらに2024年11月6日に公表された中間決算では、2025年3月期の連結売上高860億円(前期比113.6%)、連結経常利益110億円(前期比129.2%)の着地を予想しており、「3期連続での過去最高業績更新を見込む」としている。

2024年11月6日時点の公表値


 同社の事業の土台となっているのが、医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア(CHC)事業のバランスのとれた「両輪経営」と、得意分野に集中的に経営資源を投入する「領域特化」だ。

 「両輪経営」については、部門別売上高構成比で医療用医薬品事業が65.6%(売上高495億7,100万円)、CHC事業が34.4%(売上高259億9,800万円)となっている。
 「領域特化」については、医療用医薬品事業では消化器系領域を中心に展開し、CHC事業ではセルフメディケーションに貢献する製品を製造・販売している。

 この2つの事業の売上構成のバランスの良さと、それぞれの事業領域での強みを活かすことにより、ゼリア新薬工業は安定的で持続的な成長を実現してきたのである。

 

海外売上高比率50%超を2期前倒しで達成

 では、ゼリア新薬工業の2つの事業について、もう少し掘り下げて見ていこう。
 まず、ゼリア新薬工業の業績を力強く牽引している医療用医薬品事業について。実は、医療用医薬品の国内市場は、2021年4月以降、医療費抑制のために国の薬価改定が毎年行われるようになるなど強い逆風が吹いており、長期的成長が見通せずにいる。

 一方、世界規模で見れば市場は堅調な成長が続いている。ゼリア新薬工業も後述のとおり、2000年代以降積極的なグローバル展開を推し進めてきたことで、厳しい環境下の国内事業をカバーするだけでなく、海外事業を同社業績の牽引役にまで育て上げた。

 ゼリア新薬工業は、現中計において2026年3月期までに「海外売上高比率50%以上」という目標を掲げていた。この目標に対して、計画初年度の2024年3月期の海外売上高は389億7,200万円(前年比120.4%)で海外売上高比率は51.5%に到達。目標を2期も前倒しで達成したことになる。
 2025年3月期においても、好調に推移する欧州地域の医療用医薬品事業を中心に海外売上高がさらに増え、海外売上高比率は55.8%にまで伸びると見込んでいる。


 また、ゼリア新薬工業は、欧州のみならず、ベトナムの子会社F.T.ファーマの新工場建設や、既存事業の拡大、東南アジア近隣諸国への輸出など、アジア地域の市場拡大にも注力する方針を示している。今後、アジア地域での売上が増えれば、ゼリア新薬工業の海外売上高はさらに拡大することが予想される。

 現中計の主要方針で「好調な海外事業を中心にさらなる成長を目指す」と明記しているとおり、海外事業は同社の成長ドライバーになっている。

 

感染症治療剤「ディフィクリア」がフランス、ドイツ、イギリスなどで急伸長

 まさに絶好調といえるゼリア新薬工業の海外事業。その端緒は、現在の主力である潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」をグローバル展開していたスイスのティロッツ・ファーマを、2009年に子会社化したことだった。
 ゼリア新薬工業は、2004年に日本国内における「アサコール」の独占的な開発・製造・販売に関する権利を同社から取得していたが、このM&Aによって、海外展開に向けた確かな足がかりを得ることができた。

 現在の海外主力製品は、「アサコール」に加え、炎症性腸疾患治療剤「エントコート」、クロストリディオイデス・ディフィシル感染症治療剤「ディフィクリア」の3つである。いずれも強みを持つ消化器系領域の製品で、欧州、北南米、アフリカ、アジア・オセアニアなど世界60数カ国で販売されている。
 


 2024年9月末日時点での販売状況については、「アサコール」は北欧などで好調に推移しており、「エントコート」は欧州市場における後発品発売の影響を受けるものの、カナダなどで売上を伸ばしている。

 主力3製品のなかでも業績の伸長が著しいのが「ディフィクリア」だ。欧州市場、特にフランス、ドイツ、イギリスなどで急成長を遂げている。2024年3月期の同製品売上高は135億800万円で、前期からの伸長率は実に61.9%だった。
 この勢いは継続中で、上期(2024年9月末日)時点での売上高は98億8,900万円となり、前年同期からの伸長率は51.1%に達している。

 

コンシューマーヘルスケア(CHC)事業は、ヘパリーゼ群が業績を牽引

 ゼリア新薬工業のもう一方の事業部門であるCHC事業は、個人投資家にとって馴染み深いものだろう。テレビCMやSNSなど多彩なメディアを通じた広告展開により、「医薬品ヘパリーゼ」「コンドロイチンZS錠」「ヘパリーゼW」などが広く認知されている。

 CHC事業の2024年3月期の売上高は259億9,800万円で、前期比103.6%だったが、主力のヘパリーゼ群が、売上高109億6,800万円(前期比111.4%)で業績に大きく貢献している。
 同社は、「ヘパリーゼ」「コンドロイチン」のほかにも多彩な製品群を展開しており、2025年3月期は、「イオナ化粧品」「薬用はみがきマスデント群」「西洋ハーブ群」「皮膚用薬プレバリン群」などを収益の新たな柱へ育成することに注力中。これら製品については、テレビCMはもちろん、多様な広告媒体・機会の積極活用で市場浸透を図るとしている。 
 

CHC事業では新たな収益の柱の育成に注力中


 海外事業が牽引する医療用医薬品事業と、主力品に次ぐ収益の柱となる製品の開発・育成・市場浸透を着実に推し進め売上拡大を狙うCHC事業。これら「両輪」の加速によって、「海外売上高比率50%以上」とならぶ第11次中計のもうひとつの目標「売上高900億円超」も、すでに射程圏内に捉えている。

 

収益性改善によりROEは10%以上達成

 さらに、単なる売上規模の拡大のみならず、欧州地域を中心とした海外事業への積極的な投資による業績の伸長も相まって、ゼリア新薬工業は収益性も大幅に改善させている。
 ROE(株主資本利益率)は、2023年3月期に10.3%と2ケタ台に乗り、2024年3月期も10.7%を維持している。
 


 国内においても、効率的で持続可能な生産体制の構築に向けて、2025年4月1日に「ヘパリーゼ群」の主原料である肝臓加水分解物の製造・販売を行う子会社の合併を予定。加えて、国内4工場の生産ラインの集約化や内製化なども順次進めることで、さらなる収益性の向上を図ろうとしている。
 

4期連続増配を予定

 最後に株主還元に触れておこう。
 ゼリア新薬工業では、安定配当の維持を基本とし、業績を勘案して配当を行っている。当然、ここ数年の好業績を反映し、増配は3期連続となっている。

 2025年3月期も、順調な業績推移を受けて前期から2円増の46円を予想。4期連続の増配となる見込みだ。
 

●会社概要(2024年3月末日現在)

  概要
商号
ゼリア新薬工業株式会社
ZERIA PHARMACEUTICAL CO., LTD.
業種
医薬品
設立
1955年12月
決算月
3月
市場
東証プライム
代表者
代表取締役社長兼COO 伊部 充弘
資本金
6,593百万円
発行済株式数
53,119千株
従業員数(連結)
1,777人


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