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“もったいない精神”で地球の課題解決に貢献

事業を通じて、サステナブルな環境・社会の実現目指す “もったいない精神”で地球の課題解決に貢献

2024年2月20日
7456 松田産業
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 世界各国で発生している異常気象やそれによる自然災害の原因とされる気候変動の問題は、2015年9月に開催された国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)においても、地球規模で喫緊の対策を求められている。とはいえ、私たちは何をしたらよいのだろう。当レポートでは、SDGs採択よりはるか昔から、祖業を通じて環境問題にアプローチを続けてきた松田産業の取り組みをご紹介する。

松田芳明(まつだ・よしあき)
代表取締役社長

異業種混成で挑む地球資源の有効活用

 松田産業は〈貴金属・環境・食品〉の3つの分野を通して、地球資源の有効活用に貢献している。貴金属・環境と食品分野は関連があるようには見えない異業種混成だが、「地球資源の有効活用」が共通のテーマだと気づけば、「人を豊かに、地球を美しく」というコーポレートビジョンにも納得できる。「限りある地球資源を有効活用し、業を通じて社会に貢献する」という松田産業の理念は、今でこそエコやサステナビリティと言い換えられるが、もともとは「もったいない精神」に「チャレンジ精神」をもって向き合ったのが始まりである。


 松田産業の事業セグメントは、「貴金属関連事業」と「食品関連事業」の2つ。このうち「貴金属関連事業」は、1935年(昭和10年)に、写真の感光材料から銀をリサイクルしたことをルーツとし、現在、「貴金属事業」「環境事業」を行っている。

 「貴金属事業」は、半導体や電子部品を製造する工程で規格外となった部品などを国内外のメーカーから集荷し、そこに含まれる貴金属をリサイクルしている。強みは高い技術力と高度なセキュリティ体制だ。長年、鉱物資源リサイクルに取り組み資源循環型社会の構築に貢献してきた同社ならではの技術とノウハウの蓄積により、前処理(粉砕・焼成)から貴金属を分離・濃縮する精錬まで、一貫して自社で行うことができる。
 こうして精錬した金・銀・プラチナ・パラジウムなどの貴金属は、クローズドループ・リサイクル(同じ素材にリセットして無限に循環利用すること)として地金や「産業の米」と呼ばれる半導体などの電子デバイス・電子材料部材、化成品となり、再び世の中に循環していく。そのなかで、運搬・処理双方の工程でセキュリティも徹底している。規格外となった部品には各社独自の技術やノウハウが詰まっているため、ISO/IEC 15408(評価保証レベルEAL6)の機密関連部品の滅却業務でのサイト認証も取得し、お客さまの大切な知的財産の漏洩防止に努めている。

 「環境事業」は、ルーツである銀の回収技術に端を発し、廃酸・廃アルカリの無害化処理や有害重金属の処理・リサイクルも手がけている。工業で発生する産業廃棄物の収集運搬/無害化処理事業は、安全できれいな環境づくりに貢献。“活かす”貴金属事業に対し、環境事業は“還す”とイメージするとわかりやすいだろう。
 今後、排出量の増加が見込まれるLIB(リチウムイオンバッテリー)や電子デバイス業界からの発生を主とした非鉄類など、高度な知識と技術が必要な危険物の資源リサイクルに取り組んでいる。※参考記事:「製薬業界の脱炭素化に貢献! 医療分野で新たなリサイクルスキームを構築」 リンク先の下部にコラムを掲載しています

 2つ目の事業領域である「食品関連事業」は、1948年、食品製造工場から不用になった卵白を引き取り、水産練り製品の材料として活用・供給したことがスタートである。現在、松田産業が扱う食関連の商材は、大手総合商社が取り扱うような小麦や大豆ではなく、ニッチな領域のものがメインだ。冷凍野菜や乾燥野菜などでは、味や品質面では問題がないが、わずかに形がほかと異なっているだけで活かされてこなかった(不用になっていた)モノが中心だ。従来は端材として扱われてきた野菜などが、松田産業によって食卓の主役になるチャンスを得るのである。
 
 安全であることはもちろん、“食”を通じて、豊かな生活文化を実現することも、同社が掲げるミッションのひとつだ。そのため、商材にもこだわりと情熱を持ち、そのまま仕入れるのではなく品質保証部が調達先に赴き技術指導のもとで加工を加えるなど、ひと手間かけることを惜しまない。産地指導やトレース体制を確立し、仕入れのネットワークは世界各国に及ぶ。グローバル規模でコストパフォーマンスの高い食材を厳選して提供できることも松田産業の強みである。

貴金属・食品ともに仕入れのネットワークは世界中に広がっている

 「貴金属関連事業」と「食品関連事業」はともに、納品先のニーズに合わせてあらかじめ一次加工を実施することで、加工工程の円滑化および材料・食材のロス低減にも貢献している。こういった臨機応変な柔軟さを活かして、メーカーの歩留まりなどを減らせることも同社の価値になっている。
 わかりやすくまとめると、松田産業の事業の本質は以下の2点といえる。

・不用とされていたものに新たな命を吹き込む
・地球から授かった資源を安全な形にして還す


 

中計で、目指す姿に向け順調に歩を進める

 松田産業が目指す姿は「社会変化に適応し、進化し続ける、お客様・社会から常に必要とされる企業へ」である。その実現に向けて、2025年度(2026年3月期)をゴールに4カ年の中期経営計画を推進中だ。新工場や技術開発などへの積極投資の継続による収益基盤強化と、新規収益源の創出やサステナビリティ経営の推進による企業価値の向上などに取り組んでいる。

 中計初年度の2022年度(2023年3月期)には2025年度目標の連結売上高3,000億円を前倒しで達成し、4期連続で増収増益を実現、さらに過去最高値を更新した。これは、同社が“資源を活用し社会に貢献する”という理念に従って着実に成長しつづけている証左にほかならない。「貴金属関連事業」では、半導体・電子部品製造業界の生産低下によって、2023年度(2024年3月期)は減益を予想しているものの、中長期の成長分野であることに変わりはない。

2024年3月期の予想値は、2024年2月9日時点の公表値

株主還元にも注力

 松田産業は株主還元にも注力している。20243月期の配当は1株当たり前期比+10円の60円を予定しており、6期連続増配となる。

 同社は株主優待も実施している。100株以上を1年以上継続保有で、2,000円相当のオリジナル「QUOカード」が進呈される。さらに、3月末時点の株主の希望者にのみオリジナルカレンダーも送られる。松田産業が業を通じて守っている、美しい風景写真を使った一品だ。

2024年3月期の予想値は、2024年2月9日時点の公表値

 MIR@I会員の皆さんが今見つめているこの画面や、便利な品々、本日の昼食などに、原材料レベルで松田産業が関わっている可能性がある。そう考えると身近な存在に思えてこないだろうか。

●会社概要(2024年2月9日現在)

                                         
  概要
商号 松田産業株式会社
MATSUDA SANGYO Co., Ltd.
業種 卸売業
設立 1951年6月18日
決算月 3月
市場 東証プライム
代表者 代表取締役社長 松田 芳明
資本金 35億5千9百万円
発行済株式数 26,908千株
従業員数 1,605人※連結・2023年3月末日時点


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