日本最大級の石炭採掘企業を起源として130年超の歴史を有する日本コークス工業。 現在は、 製鉄や非鉄金属の精錬に不可欠なコークスの製造販売事業を中心に、 多面的に事業展開を行っている。 そのビジネスモデルと事業計画について、 代表取締役社長の松岡弘明氏にうかがった。
代表取締役社長
多面的な事業構造でシナジーを創出
――貴社の事業内容をわかりやすくご紹介ください。
松岡社長 (以下、 松岡) 当社は、 製鉄や金属精錬に欠かせないコークスの製造 ・ 販売を行う 「コークス事業」 、 石炭や石油コークス ・ バイオマス燃料等の販売と資源リサイクルを行う 「燃料 ・ 資源リサイクル事業」 、 粉粒体機器の製造 ・ 販売を行う 「化工機事業」 を事業の柱とし、 多面的な事業構造でシナジーを創出し、 産業や社会の持続的な発展に貢献しています。
──前期(2022年度)の業績と今期(2023年度)の業績見通しについてお聞かせください。
松岡 前期は、 主力のコークス事業において、 主原料である原料炭の市況がきわめて短期間に大きく変動したことから、 多額の割高在庫影響によって営業損失を計上。 この損失を他事業でカバーすることができず、 グループ連結で赤字決算となりました。
2023年度につきましては、 原料炭市況の乱高下が沈静化する予想のもと、 国内 ・ 海外の客先ポートフォリオ見直しや、 副産物価格の上昇などもあり、 コークス事業で大幅な業績回復を見込んでいます。 他の事業でも安定収益の確保を見込み、 グループ連結での業績は売上高1,590億円、 営業利益63億円、 経常利益55億円、 当期純利益25億円と予想しています。
将来性をお伝えしたいという思いのもと、 事業計画を初めて公表
――事業計画を策定された狙いをお聞かせください。
松岡 事業計画は従前も策定していましたが、 前期(2022年度)の決算において赤字を計上したことを踏まえ、 市場の不安感を払拭したい、 という考えがありました。 また、 カーボンニュートラルの動きによって今後のコークスや石炭の需要が心配されるなか、 当社事業の将来性をしっかりとお伝えしたいという思いもあり、 初めて外部に公表いたしました。
――戦略の概要をご説明いただけますか。
松岡 外部環境に大きく左右されやすいコークス事業について、 マージン安定化を企図した製品価格決定方式への変更、 製造コストの削減 ・ 副生品 (副産物) の価格改善などによる損益分岐点の引き下げにより、 市場環境に左右されない安定的な事業収益体質の構築を目標としています。 燃料 ・ 資源リサイクル事業や化工機事業についても、 需要家のニーズに合った商品 ・ 製品の提供により着実な収益確保を掲げています。
──株主還元の方針についてお聞かせください。
松岡 当社は、 株主の皆さまへの還元ならびに将来のために必要な投資や財務体質強化のための内部留保について、 業績と財務状況も総合的に勘案したうえで、 適切に行うことを配当方針としています。
前期 (2022年度) は赤字決算を受け、 誠に遺憾ながら無配となりましたが、 前述の業績予想を踏まえ、 2023年度の期末配当は1株当たり3円という予想を公表しています (2023年8月3日現在)。
──読者である個人投資家に向けてメッセージをお願いいたします。
松岡 当社は石炭を原料としたコークス製造や、 石炭系の燃料販売など、 事業がCO2排出に強く関わることから、 カーボンニュートラルに対する取り組みは重要かつ緊急な課題であると認識しています。 当社のコークス製造は、 外部からのエネルギー調達を必要としない、 エネルギー循環型の「エコプロセス」 を構築していますが、 環境対策や CO2 排出抑制への施策についてグループ全体で取り組みを強化し、 2050年カーボンニュートラルに挑戦するロードマップを描いています (詳細は、 当社ホームページ 「サステナビリティ」 をぜひご覧ください) 。
公表している事業計画の達成に加え、 カーボンニュートラルへの取り組み強化も合わせ、 ステークホルダーの皆さまからより一層信頼していただける企業を目指してまいります。
●会社概要(2023年3月31日現在)
概要 | |
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日本コークス工業株式会社 NIPPON COKE & ENGINEERING CO., LTD. |
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石油 ・ 石炭製品 |
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1969年12月 ※創業は1889(明治22)年 |
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3月 |
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東証プライム |
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代表取締役社長 松岡 弘明 |
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7,000百万円 |
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302,349千株 |
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1,046人(連結) |
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