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【連載企画】 日経平均が30万円になるこれだけの理由 第1回

2021/03/12(金)

MIR@I会員限定コンテンツ

2021年2月15日、 日経平均が30年ぶりに3万円の大台を回復した。 2020年3月に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて1万6,000円台まで急落したあと急激に値を戻し、 1年足らずの間に約2倍の伸長を達成した。 絶好調に見える日本の株式市場だが、 過去30年間に10倍まで値を上げた米国ダウ平均と比較すると、 日経平均の上昇ペースはいまだ緩慢と見る識者も少なくない。

そうしたなか、 市場関係者や個人投資家の間で、 トルコ生まれの気鋭のエコノミスト、 エミン ・ ユルマズ氏の 「日経平均30万円」 説が注目を集めている。 今後30年は続くと思われる令和の時代に、 日経平均が30万円に到達するという大胆な予測だ。 日経平均30万円の根拠と、 日本経済、 日本企業の可能性について、 エミン ・ ユルマズ氏ご本人に解説していただく。


 

【 第1回 】 エミンさんってどんな人? 日経平均30万円って本当!? 

トルコ出身の天才エコノミスト、 エミン ・ ユルマズ氏 (複眼経済塾 取締役 ・ 塾頭) に日本経済の長期展望と日経平均株価の先行きを解説していただく連載インタビュー。 第1回目は、 日本に来られたきっかけと、 投資家に衝撃を与えた 「日経平均30万円」 説の概要についてお話をうかがった。

 

国際生物学オリンピックで優勝、 東大で生命工学を専攻した超エリート

――  エミンさんはトルコでお生まれになり、 現在は日本に軸足を置いて活躍されています。 これまでのご経歴と日本に来られたきっかけをご紹介ください。

エミン ・ ユルマズ(以下、 エミン) 私は1980年にトルコのイスタンブールで生まれました。 高校3年生の時、 トルコ代表として参加した国際生物学オリンピックで優勝し、 金メダル獲得のご褒美としてトルコの文部省系列の財団が海外留学費用を支給してくれることになりました。 「では、 日本に行かせてください」 とお願いして、 1997年、 17歳の時に来日しました。

留学先に日本を選んだのは、 トルコがもともと親日国であることに加え、 日本のパソコンゲームなどのコンテンツに親しんでいたことも理由のひとつに挙げられます。 また、 当時のトルコの若者は留学先として地理的に近いヨーロッパやアメリカを選択する傾向がありました。 しかし、 その頃の日本は世界第2位の経済大国です。 アメリカに留学して20万人中の1人になるより、 日本に行って1人中の1人になるほうが、 自分の人生において必ずプラスになるという確信もありました。

来日後は1年間、 語学学校で日本語を学び、 翌年、 東京大学の理科一類に入学。 工学部化学生命工学科を卒業した後は、 東大の新領域創成学科で生命工学修士を取得しました。 大学院を修了した2006年に野村證券に入社し、 企業情報部、 機関投資家営業部、 外国株式営業部等で経験を積みました。 2014年に野村證券を退職した後は、 2015年に四季報リサーチ株式会社に入社。 翌2016年に複眼経済塾株式会社の塾頭に就任し、 現在に至っています。

トルコと日本 ── ふたつの経済社会を結ぶ架け橋として

―― 就職先に証券会社を選ばれた理由と、 活動場所としてトルコでも欧米でもなく、 日本を選択された動機を教えてください。

エミン 野村證券に入ったのは、 東京大学で学んだ生命工学の知識や知見を生かせる職場だと考えたからです。 お金の流れ (流動性) が血液に例えられることからも明らかなように、 金融は生物学の観点で捉えることが可能です。 そして金融 ・ 経済という生命体の機能を支えているのが証券会社や銀行などの金融機関といえるでしょう。

株価も人間の意思によって形成されています。 もちろん市場分析には数学を駆使しますが、 科学の力で株価の推移を100%予測することは不可能です。 金融や証券が持つ不確定性こそ、 人間らしさの表れといえるかもしれません。

日本にとどまることを選択したのは、 トルコの発展 ・ 成長に寄与するうえでも、 日本に拠点を置いたほうが得策だと判断したからです。 欧米で活躍するトルコ人は少なくありませんが、 トルコと日本の間にコネクションを構築している人はほとんどいません。 私は両国の架け橋として母国の発展に貢献したいと考えました。 これまでSNSや書籍などを通じてトルコリラやトルコ経済に関する情報を発信してきましたが、 それらがトルコに投資を呼び込む力になっていることを誇りに感じています。

野村證券の機関投資家営業部では、 その後活動を共にすることになる渡部清二塾長のもとで働きました。  「白い靴下を履くな」 とか 「飲み会の翌朝には、幹事や出資者のところへ行って挨拶をしろ」 とか(笑)、 日本企業で働く際の有益なアドバイスもいろいろといただきました。 野村證券でM&Aアドバイザリーからトレーディングまで、 さまざまな経験を積んだこと、 それが世界経済や日本の株式市場を展望するための貴重なベースとなっています。

米中 「新冷戦」 の進行で、 世界の余剰資金が東京に向かう

―― エミンさんは、 「令和時代に日経平均は30万円になる」 と予測されています。 日経平均30万円の実現確率は何%ぐらいだとお考えですか。

エミン 令和時代が平成と同じくらい、 つまり30数年続くとして、 2050年までに日経平均が30万円に到達する可能性は100%だと考えています。 もちろん、 これは日本が世界規模の戦争に巻き込まれないこと、 富士山の噴火で首都が壊滅するような未曾有の大災害が起こらないことが前提となります。 また、 日本株が大きく上昇するだけではなく、 東京が香港に代わってアジアの金融ハブ、 金融都市へと飛躍するでしょう。

日経平均株価は、 高度経済成長が本格化した1966年頃からバブル直前の1986年までの約20年間に、 およそ25倍に上昇しました。 現在の日本経済は当時と同じ上昇局面にあるので、 日経平均の上昇サイクルがスタートした2013年の株価、 約1万5,000円は、 今後三十数年かけて20倍、 つまり30万円になる。 それが日経平均30万円の基本的な考え方です。

私が最初に日経平均30万円を唱えたのは2016年のことですが、 当時相場を後押しする要素として取り上げたもの、 たとえば 「新冷戦」 を背景とする日本市場への資金流入やビットコインをはじめとした仮想通貨の台頭は、 すでに現実のものとなりつつあります。 株価自体も今年30年ぶりに3万円台を回復したことで30万円まで残り10倍となるなど、 私の予測内容が急速に現実化していることを実感しています。

次回からは、 日経平均30万円の具体的な根拠と実現シナリオについて、 詳しく解説していきたいと思います。


続きの記事はコチラ ↓
【 第2回 】 「新冷戦」の進展が日経平均30万円のトリガーになる!