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世界の経済発展に貢献するイリジウム、ルテニウムの雄

世界の経済発展に貢献するイリジウム、ルテニウムの雄

2022年1月1日
7826 フルヤ金属
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スマートフォン向けリチウムタンタレート結晶の製造に使われるイリジウムルツボやHDD用のルテニウムターゲットなど、 高度IT社会や資源循環社会の進展に不可欠な素材としてプラチナグループメタル (PGM:白金族) に属するイリジウムとルテニウムが注目を集めている。 この分野で圧倒的なシェアを保持し、 世界市場をリードするのがフルヤ金属だ。 時代の先を読む先見力で躍進を続けるフルヤ金属の今後の成長戦略を古屋堯民社長に聞いた。

古屋 堯民

古屋 堯民
takahito furuya
代表取締役社長

イリジウム、ルテニウムの用途開発と市場創造に挑む

───フルヤ金属の事業内容とその特長・強みをご紹介ください。

 当社は1968年に貴金属を取り扱う会社として始まりましたが、収益の安定化を図るためには大手が扱っていない素材・製品を手がける必要があると考え、プラチナの副産物であるイリジウムとルテニウムに着目。1980年頃より、その実用化と用途拡大に注力してきました。

 時が下ると、当初、用途の限られていたイリジウムやルテニウムの優れた特性が広く認められるようになり、エレクトロニクス産業を中心に用途範囲が急速に拡大していきます。市場創造に取り組んできた当社の事業も堅調に発展し、現在ではイリジウムルツボおよびルテニウムターゲットで約70%の市場シェアを確保するなど、揺るぎないプレゼンスを維持しています。

 当社はまた、南アフリカの鉱山との直接契約などで安定的な調達ルートを確保していることに加え、高度な加工技術、高純度化技術、リサイクル技術を有しています。そのすべてを備えているのは業界で当社だけです。
 

PGMのリサイクル事業をフルヤ金属の「第5の柱」に

───プラチナグループメタル(PGM)のリサイクル事業を始められた狙いを教えてください。

 当社は現在、「電子」「薄膜」「サーマル」「ケミカル」の4つの領域をメインに、高品質な素材・製品の提供に努めています。しかし、当社がさらなる成長を追求していくためには、原料調達ルートの多様化を図り、安定した製品供給体制を構築していくことが欠かせません。こうした観点から、1990年代後半にはイリジウムの回収・精製に成功し、その後ルテニウムの回収・精製事業を開始してリサイクル事業の基礎を築きました。今後はリサイクル事業を「第5の柱」へと育成し、盤石の事業ポートフォリオを確立したいと考えています。
*温度管理関連製品の新規投入による多角化により、2022年6月期から事業名称を「センサー」から「サーマル」に変更
 

───経産省の「グローバルニッチトップ企業100選」に選ばれました。

 当当社は2014年に行われた1回目の選定においてもグローバルニッチトップ企業100選に選ばれており、今回(2020年版)で2回連続認定の栄誉に浴することとなりました。前回の選考では、イリジウムルツボやルテニウムターゲットにおける圧倒的な優位性が評価されましたが、今回は当社イリジウムの有機EL素子向け燐光材料としての有用性と、サプライチェーンにおける重要性が評価ポイントとなりました。この認定を励みに、今後も市場における競争力をさらに高めていきます。

京都大学との共同研究により固溶ナノ合金の量産化技術を開発

───京都大学と共同で開発している「固溶ナノ合金の量産化技術」が注目を集めています。

 当社のような比較的規模の小さい会社が大手企業に伍していくには、先駆的な研究開発によりオンリーワンの技術や製品を創出していくことが不可欠です。当社はこれまで研究開発活動に経営リソースを積極投入するとともに、次代を担う若手技術者の育成に努めてきました。また、社外の研究機関や大学とも連携し、市場を変革する新技術の創造に取り組んでいます。

 その成果のひとつが、京都大学と共同で開発している「固溶ナノ合金の量産化技術」です。固溶ナノ合金とは、従来混ぜ合わせることが不可能とされてきた金属同士を、ナノスケール(原子レベル)で合成した新合金で、排ガス浄化触媒や化学プロセス触媒などさまざまな領域での適用が期待されています。当社と北川宏京大教授の研究チームは、これまで困難だった固溶ナノ合金の連続合成に成功し、量産化への道を拓きました。

───中長期的な成長戦略をお聞かせください。

 イリジウムやルテニウムを国内外のさまざまな産業に提供する一方、大学や外部研究機関との共同研究に力を注いでいることもあり、当社には次世代社会が必要とする素材や製品についての情報がふんだんに入ってきます。そうした情報を集約・分析して用途開発の対象領域を設定、そこに経営資源を集中して早期の事業化を進めていく方針です。当社の技術開発、用途開発の「打率」は約7割ときわめて高い水準を保持しています。今後も的確な未来予測に基づく先進的なものづくりを推進し、将来にわたる持続的成長を実現していきたいと考えています。
 

持続可能社会への貢献と企業価値の最大化を目指して

───最後に、個人投資家の皆さまにメッセージをお願いします。

 2015年に国連サミットでSDGsが採択されて以降、一般企業にも社会課題解決への貢献が強く求められるようになってきました。当社はイリジウムやルテニウムを中核とした製品・サービスの安定供給を通じて、自動車、エレクトロニクス、エネルギーなどの諸産業の発展と科学技術の進化を牽引し、持続可能な社会の実現に寄与していきたいと考えています。同時に将来投資に向けた内部留保の充実と株主の皆さまへの利益還元を高次元でバランスさせることにより、企業価値、株主価値の最大化を追求していく決意です。

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