日本の金融市場の中心地に数々の優良資産を有し、オフィスを中心とするビル管理・運営で豊富なノウハウを持つ平和不動産。時代の変化に伴って事業領域の拡大を進め、近年は“街づくりに貢献する会社”への転換を加速させている。代表取締役社長を務める土本清幸氏に、同社が実現する付加価値のあり方を聞いた。
土本 清幸
Kiyoyuki Tsuchimoto
代表取締役社長
「街づくりビジョン」で国際金融都市・東京に貢献
――貴社の創業の経緯はとてもユニークですね。
土本清幸社長(以下土本) はい。当社事業の特色も、その経緯をご紹介することでより深くご理解いただけると思います。
当社は第二次世界大戦後の1947年、再開される証券取引所の建物の管理・運営を目的として、旧日本証券取引所から分離・設立されました。以降日本橋兜町(東京)をはじめとする株式市場の中心地(名古屋・大阪・福岡・札幌)に優良な資産を有する不動産会社として、証券取引所関連のビル賃貸事業(ビルディング事業)を通して、日本の証券・金融インフラを支えてきました。
そして2000年頃から事業モデルの転換を進め、事業対象を一般のオフィスビルや商業施設へと拡大。ビルディング事業で培ったノウハウを活用してアセットマネジメント事業にも取り組むなど、資産と事業領域の拡大を進めています。
――不動産デベロッパーへの転換について、今までの取り組みを教えてください。
土本 2014年、不動産デベロッパーとしてのプレゼンスの向上を目標に、創業の地である日本橋兜町・茅場町を対象とした「日本橋兜町街づくりビジョン」を策定し、その後「日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクト」を本格始動させ、着々と(不動産デベロッパーへの)転換を進めてきました。
同地区で展開する計4施設のサービスオフィス・FinGATEでは、独立系資産運用会社やFintech等の金融系スタートアップが入居するほか、2021年6月には海外金融事業者向け相談窓口となる金融庁・財務局の拠点開設サポートオフィスが開設しました。さらに、東京都の「国際金融都市・東京」構想に資する金融拠点として、当プロジェクトのリーディングプロジェクトである大規模複合用途ビル「KABUTO ONE」が同年8月に開業し、日本の証券・金融界とともに歩む、当社ならではの付加価値を提示できたと考えています。


――現行の中期経営計画「Challenge & Progress」でも「街づくりに貢献する会社」が主要テーマです。具体的な取り組みをお聞かせください。
土本 現中計期間(2020~2023年度)では〝不動産デベロッパー=街づくりに貢献する会社〟としてのさらなる飛躍を決意し、次の4点を進行中です。
1つ目は再開発事業の量的・質的な拡大です。日本橋兜町・茅場町の再活性化では、「KABUTO ONE」に次ぐ新プロジェクトを予定するほか、新たな再開発事業として、札幌の中心地で2つのプロジェクト(大通りと札幌駅前)を展開。これにより、複数街区をとりまとめた再開発事業の実績を積み増していきます。
2つ目はサステナビリティ経営の実践です。サステナブルな社会および成長を実現するため、再開発事業やビルディング事業を通じて社会課題の解決、SDGsへの貢献の取り組みを加速させています。
3つ目は付加価値創出のビジネスモデルへの転換です。当社は外部成長と内部成長等による不動産の付加価値創出に取り組んできましたが、今後はその付加価値を売却等で実現し、それにより得た利益を、投資や株主還元の拡充に充当していきます。
4つ目は資本市場を意識したKPIの設定です。株主価値の向上を図るため、事業戦略等の遂行を通じてEPSの成長、ROEの意識徹底、高水準の株主還元の実現を目指します。

高水準の連結総還元性向など 株主価値向上策を進めていく
――再開発事業の拡大と不可分であるサステナビリティへの取り組みについて、具体例をお聞かせください。
土本 現中計の主要テーマにも位置付けたように、当社が〝街づくりに貢献する会社〟としてさらなる成長を遂げるには、サステナビリティへの積極的な取り組みが不可欠です。2021年に東京・横浜エリアの17物件で使用電力を再生可能エネルギー由来に切り替えたのは、この取り組みの一環です。これにより、2021年度には約4,900tのCO2削減を見込んでいます。
さらに、気候変動対策の推進のため、温室効果ガス削減目標を従来の20%から50%に引き上げました。この新目標により、パリ協定達成のために推奨される「SBT(Science Based Target)イニシアティブ」の認定を取得予定です。
環境面以外でも災害時にオフィスビルを帰宅困難者に開放するなど、不動産会社が社会課題の解決に貢献できることは明確で、かつ数多くあるという視点で、今後も精力的に取り組みを進めます。

――貴社は連結総還元性向目標を業界でも高水準の「70%程度」と設定しており、株主還元に積極的ですね。
土本 当社は株主価値の向上を経営上の大きな柱と捉えており、その姿勢と実績は市場からも評価をいただいています。現中計では「連結総還元性向70%程度(2020~2023年度)」に加えて、2023年度までに連結配当性向目標を50%程度としています。配当も近年増配を続けており、過去4期で2倍以上となりました。2022年3月期は5期連続の増配となる1株当たり82円を予想しています。引き続き、開発や物件取得等の成長投資を踏まえつつ、資本市場から評価される平和不動産であるべく努めていきます。
個人投資家の皆さまにはぜひ一度、進化を続ける兜町を訪れていただきたいですね。当社の街づくりのコンセプト「人が集い、投資と成長が生まれる街づくり」を体感いただき、当社事業に関心をお寄せいただければ幸いです。
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