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【連載企画】 会社四季報で有望銘柄を探す! 第2回

2021/02/12(金)

コラム

渡部塾長がレクチャーする、 『会社四季報』(東洋経済新報社、以下「四季報」)を活用した有望銘柄の探し方。

前回は四季報の魅力をお聞きしましたが、 第2回は、 四季報のどこをチェックすればよいのか、 その極意を教えていただきました。

 

【 第2回 】 四季報はこう読む ~次のテンバガー(10倍株)を見つける方法 ・ 前篇~

「業界首位」 や 「シェア1位」に注目する

―― 今回は、 個人投資家が 「テンバガー」(10倍株、 大化け株)を発見するために、 四季報をどのように読めばいいのか、 その方法を教えていただきたいと思います。 まず、 最初に四季報のどこを読めばいいでしょうか。

渡部 まず、 企業名が大きく掲示してあるブロックを見てください。 ここには企業の自己紹介、 プロファイルが簡潔に記載されています。そのなかでも最も重要な項目が 【特色】 です。 その企業が何をやっているのか、 どんな会社なのかが、 わずか2行で端的に表現されています。

特に注目していただきたいのが、 「業界首位」 とか 「シェア1位」 といったキーワード。 たとえば、 レーザーテック(6920)の 【特色】 には、 「マスクブランクス検査装置シェア100%」 と書かれています。 2000年代の初め頃から競争相手がまったくない状態が続いているのですね。 この会社の製品スペックがそのまま当該分野のスタンダードになるわけですから、 その優位性は圧倒的です。

四季報の社名の下には、【設立】年月が記載されていますが、それはあくまでも株式会社として登記された年月です。
企業分析においてきわめて重要な要素である継続性を判断するためには、 事業をスタートさせた年、 つまり「創業年」をチェックすることが欠かせません。 企業ホームページなどで確認することをお奨めします。

コメント欄で企業の方向性と中長期戦略をつかむ

―― 四季報誌面の核をなすのがコメント欄です。 この欄はどのように読めばいいのでしょうか。

渡部 コメント欄にはふたつの項目が立てられています。 【コメント1】 は主に今期の動き、 つまり短期的な業績動向に言及することが多く、 【コメント2】は会社の中長期的な成長に関するトピックスを取り上げることが多い。 私が注目するのは後者です。

日清食品ホールディングス(2897)のコメント欄には、 「湖池屋の株式追加取得し20年11月子会社化」 と書かれています。 カップ麵の日清がポテトチップスの湖池屋を連結子会社にする。 この記述からは、 2021年9月のカップヌードル発売50周年を前に、 日清食品が事業構造の改編を企図しているのではないかと推察することができます。

コメント欄をじっくり読めば、 掲載企業がいまどのような課題を抱え、 どのような方向へ舵を切ろうとしているのかをある程度把握することができます。 企業の転換点を捉えることも不可能ではないので、 注意深く読んでいただきたいですね。

 

キャッシュフローは企業の継続性を示す重要項目

―― 【財務】 【指標等】 【キャッシュフロー】 の見方を教えてください。

渡部 【財務】 では、 自己資本比率で企業の健全性をチェックします。 自己資本比率とは総資産に対して自己資本がいくらあるか、 裏返すと借金がいくらあるかを示しています。 日本企業は総じて自己資本比率が高いのですが、 そのために外国企業と較べてROE(自己資本利益率)が低いと指摘されることにもなります。 私は借入金に過度に依存することは企業経営にとって良いとは思いませんから、 日本企業の自己資本比率の高さはもっと評価されていいと考えています。

次に、 【キャッシュフロー】 をチェックしてください。 企業にとって最も大切なことは事業の継続性ですが、 その継続性は企業のお金のやりくりであるキャッシュフローで判断できます。 まず、 営業キャッシュフローは基本的に売上と仕入れの差額ですからプラスであることが前提です。

一方、 企業は成長するために投資活動を継続する必要がありますから、 投資キャッシュフローはマイナスで構いません。 そして、 営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合算したものがフリーキャッシュフローです。 フリーキャッシュフローは企業の財務体質を評価する上で非常に重要な指標ですのでプラスであるかどうかをチェックしておきましょう。

配当は企業から投資家へのメッセージ

―― 個人投資家にとって、 企業の過去の業績推移と来期以降の予想を記載した 【業績】 そして配当の実績と予想を記した 【配当】 のふたつのブロックは、 大変に馴染みのあるものだと思います。 業績や配当をチェックする際の留意点を教えてください。

渡部 まず、 売上高の増減に注目してください。 売上高と利益の関係は 「売上高-コスト=利益」 ですので、 コストを減らすことで利益を拡大できますが、売上高は市場や顧客を開拓して販売額を増やしていく以外に方法はありません。 この開拓力あるいは市場を深耕する突破力こそ、 企業の成長性にほかなりません。

過去のデータから、 テンバガーの多くは増収率が20%前後、 すなわち売上高が4年で倍になるペースで成長していることが明らかになっています。 売上の推移を分析することは、 テンバガー発掘の最初の一歩だと言えるでしょう。

営業利益は、 売上高から原材料費などの売上原価と広告宣伝費や人件費などの販管費を差し引いたもの。 本業を回していくために最低限必要なコストを差し引いたものであることから、 「本業の利益」 とも呼ばれています。 営業利益を売上高で割った営業利益率の変化で、 企業の稼ぐ力、 つまり優良性を把握することができます。

【配当】については、 その絶対額よりも配当に託された企業のメッセージに注目してください。 配当することは株主の支援に報いたいという企業の姿勢の表れです。 逆に、 しっかり利益を上げているのに配当しない、 あるいはわずかしか配当しないということは、 資金を投資に振り向けてさらなる成長を追求する方が長期の株主利益に貢献するという意思の表明です。

株主への還元と将来投資に向けた内部留保の充実、 そのバランスをどう取っていくか、 配当の実績や予測から企業のメッセージをくみ取っていただきたいと思います。

( 第3回につづく )


前回の記事はコチラ

【 第1回 】  四季報はいかにすぐれた投資ツールであるか