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ここではない「まだ見ぬ景色」を求めて

清川 甲介

清川 甲介
Kosuke Kiyokawa
代表取締役社長

定着率を重視する経営姿勢で技術者派遣の新たな可能性を拓く

2006年の設立以来着実かつ目覚ましい成長を継続し、人材派遣業界のなかでも確固たる地位を築いてきたコプロ・ホールディングス。社員の教育・育成と派遣先での「定着率」に重きを置く経営姿勢は、顧客企業から高く評価されている。この会社を創業し、その発展をリードしてきたのが、代表取締役社長の清川甲介氏だ。氏の波瀾万丈の半生と、その経営哲学を紹介しよう。

Profile
1977年10月16日、愛知県生まれ。名古屋工業専門学校卒業後、地元建設会社にて現場監督を2年経験。大手アウトソーシング会社にて営業を5年経験し、グループ企業の社長を経て、2006年、人材派遣・紹介事業を目的とする㈱トラスティクルーを立ち上げる。2008年、㈱コプロ・エンジニアードに社名変更。2015年にホールディングス制に移行し、現在に至る。
 

創業15年目での快挙達成
独自の存在感を放つ企業


 2020年9月、株式会社コプロ・ホールディングスは、東証1部および名証1部に市場変更を果たした。2006年の会社創業から15年目、東証マザーズ、名証セントレックスへの上場からわずか1年半の快挙である。

 清川甲介社長は、「市場変更は通過点にすぎない」と強調するが、それでも信用面、人材採用面、資金調達面において、マイルストーンであることに疑いはない。

 同社はなぜ急速な成長を果たし、人材派遣業界で独自の存在感を放つ企業になれたのか。会社関係者や市場関係者が例外なく指摘するのは、清川社長の比類ないリーダーシップと際立つカリスマ性である。
 

建設会社を経営する父親から
人としての生き方を学ぶ


 清川社長は1977年10月、愛知県東海市で生まれた。父親は地元で小さな建設会社を経営していた。跡取りへの期待の大きさゆえであろうか、父母の教育は厳しく、清川社長に甘やかされた記憶はまったくない。父母の働く姿、従業員と接する父の言葉や態度、そうしたものが清川社長にとって最良の教材となり、生きるうえでの指針となった。

 給料が手渡しだった時代、父は従業員に給料袋を手渡しながら「いつもありがとう」と言葉をかけた。清川社長はその姿に、人としての生き方や格好良さを見ていたという。父子の語らいは少なかったかもしれないが、父は図らずも清川社長に、「帝王学」を授けたといえるかもしれない。

 ファミコン世代の清川社長だが、家で過ごすよりも友だちと外で遊ぶことが好きな少年だった。小学校に上がってからは、街の空手道場に通って心身を鍛え、中学、高校ではバレーボールに打ち込んだ。

 「空手を通じて礼儀作法や相手を敬う気持ちを学び、バレーボールでは仲間と協力することの大切さを学びました。私は社員に対し、おもてなしの心やコミュニケーション能力の向上を指導してきましたが、その原点は空手やバレーボールにあるのかもしれません。派遣する社員は、一人ひとりがコプロの看板を背負っています。コプロブランドの価値向上を図るためにも、コミュニケーションスキルを基軸に据えた入社教育や研修を徹底していくことが重要だと考えています」

 

肌感覚で建設ビジネスの
魅力と可能性をつかむ


 工業専門学校へと進んだ清川社長には、確固とした将来ビジョンがあった。

 「自分が進む道は子供の頃から見てきた建設業界しかない。父の会社を継いで自分の代でもっと大きくしていこう」

 建設マーケットの成長性に着目したわけではなく、いわば肌感覚として建設ビジネスの魅力や可能性をつかみとっていた。

 専門学校を卒業した清川社長は、地元の大手建設会社で現場監督を2年間経験する。いわば実家を継ぐ前の「武者修行」に出たわけだが、任された仕事は当初抱いていたイメージとは異なるものだった。

 分厚い設計図面を渡され、ひたすら見積もり用の数量計算を行う毎日。さまざまな職人さんとコミュニケーションをとりながら建物を作り上げていくというダイナミックな仕事を期待していた清川社長は失望し、転職を決意する。だがこの決断が、清川社長の人生に最大の転機をもたらすことになる。

 

人生のターニングポイントとなる
現場監督から営業マンへの転身


 建設会社を辞めた清川社長は、就職情報誌で建設業界に特化した人材派遣会社を発見する。派遣社員なら、さまざまなゼネコンで現場監督としての経験を積むことができるかもしれない。そう考えて面接に行ったのだが、待っていたのは面接官の意外な言葉だった。

 「君は営業向きだから、現場監督ではなく営業をやらないかと言われました。最初はお断りしたのですが、もし営業が無理だったら現場に戻してあげるからと重ねて説得されました。そこまで必要とされるなら新しい仕事に勇気を持って飛び込んでみよう。そう考えて最終的に営業として入社することを決めたわけです。この時の決断が、私にとって生涯の方向性を決めるターニングポイントとなりました」

 果たして、面接官の慧眼は清川社長の驚くべき適性を見出していた。

 「営業トークなんて知りませんでしたし、怒られたこともたくさんあります。それでもとにかく、数を回ることと、相手に覚えてもらうために何をするべきかをいつも考えていました」

 清川社長は期待に応えて抜群の営業成績をあげ、26歳の若さでグループ企業の社長に登用された。さらに清川社長は、異例の抜擢に応えて会社の経営成績を劇的に伸ばすと、ついには親会社の役員就任の打診を受ける。誰もが有頂天になって不思議のないサクセスストーリーのなか、清川社長本人は、会社の在り方や自身の生き方を冷静に考えていた。

 

人材派遣の新たな在り方を求めて
コプロ・ホールディングスを創業


 かつて父親は会社の意思決定の一切を担っていたが、数あるグループ企業の1社を任されただけの自分には、十分な決裁権が与えられていなかった。そして何より疑問に感じたのは、社員の育成や派遣先での定着率に頓着せず、結果のみが重視される親会社の経営方針だった。

 「派遣会社が持続的に成長していくためには、派遣社員をしっかりサポートしつつ、定着率を向上させなければなりません。しかし、営業が派遣社員のフォロー活動に注力すると新規開拓の時間が削られ、成績が落ちてしまう。だから派遣業界では、社員を派遣したらそれで終わりというスタイルが一般的でした。私はこの旧弊を何とか打ち壊したいと考えていましたが、アフターフォロー部門の採用枠は与えられていなかったので、私の独断で、営業として入社させた人員をサポート部隊として稼働させていました」

 清川社長は自らが信じる理想の人材派遣会社を興すことを決意する。そして、2006年10月、㈱トラスティクルーを名古屋市に設立(後に㈱コプロ・エンジニアードに社名変更)。まだ28歳であった。

 新会社では、派遣社員の教育にコストをかけた。ビジネスマナーやコミュニケーションスキルを中心に、どんな会社(現場)に派遣されても立派に通用する人財の育成に努め、それは後に、社員の定着率81.8%(2021年3月期上期)という成果に結実することになる。

 会社は急成長を果たしていく。拠点を順次拡大し、2015年には㈱コプロ・ホールディングスを頂点とする持株会社体制に移行。2019年3月に東証マザーズと名証セントレックスに上場し、2020年9月には1部へ市場変更となった。しかし、清川社長は一流企業としてのお墨付きを得たともいうべき1部上場も、ひとつの通過点としか捉えていない。

 「社員一人ひとりが将来、コプロに在籍した10年、20年を振り返って、本当にこの会社と出合ってよかったと思える、そのような企業を創造することが私たちの最終目標です。イキイキと働く社員の集合体が会社の成長につながる。そんな関係性を確立することを目指しています」
 

年率平均120%の成長を継続し
1,000億円企業の実現へ


 清川社長が指摘するコプロ・ホールディングスの課題のひとつが、権限の委譲である。コプログループは、これまで清川社長のリーダーシップによって成長してきた。しかし、グループがさらに進化するためには、清川社長の描く長期ビジョンや成長シナリオを戦略・施策として具体化し、実行していくマネジメントの育成が必要との認識である。

 「当社グループは2030年3月期に売上高1,000億円を達成するという長期目標を掲げています。創業来の強みである人づくりを通じて建設業界での地位を盤石化するとともに、海外事業や新分野の開拓にも注力し、この目標を達成したいと考えています。私はその先頭に立ち、コプロブランドのさらなる価値向上を追求していく決意です」

 コプロ・ホールディングスは、建設業者に向けた定着率の高い技術者派遣という新たなビジネスモデルを創出し、業界のパイオニアとしてその裾野を広げてきた。

 業界を変え、社会を変え、私たちの暮らしを変える。独創のDNAを競争優位の源泉として、同社は清川社長のもとで、今後も着実な成長を実現していくことだろう。


※コプロ・ホールディングスでは技術社員に対して「人財」の漢字を使用しており、当文章内でも技術社員を対象とする言葉に「人財」を使用しています


<Episode>
家族と過ごすのも大切な時間

小学校では空手、中学、高校ではバレーボール。スポーツに親しんだ清川社長の現在の趣味も、やはり体を動かすことだ。多忙な社長業の合間にゴルフを楽しみ、スポーツジムでウエートトレーニングに汗を流す。スラリとした長身。スーツの上からでも、逆三角形の鍛え抜かれた体がはっきりとわかるほど。家族と過ごすのも大切な時間だ。「近くの公園で一緒に過ごしたり、海に連れていったりしています。2021年は海外への家族旅行を企画したいですね」。そう語る清川社長は、優しい父親の顔になっていた。

コプロ・ホールディングス [7059]
建設・プラント業界向けに現場を管理する施工管理者を派遣


2006年、名古屋の地で創業。建設・プラント業界向けに特化した人材派遣会社として急成長を遂げる。建設現場で専門業者を束ね、工程管理、原価管理、品質管理、安全管理の「4大管理」を担う施工管理者、いわゆる“現場監督”をはじめとした技術者を建設会社に派遣している。全国対応の建設求人サイト「現キャリ」を運営。2019年に東証マザーズ、名証セントレックスに上場し、2020年9月に東証・名証の1部に市場変更となった。2020年3月期の連結売上高は131億円。グループ従業員数は2,242人(2020年3月末)。

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