1. ホーム
  2. アイアールマガジン
  3. バックナンバー
  4. 特別企画
  5. 4091 日本酸素ホールディングス|特別企画

アイアールマガジン

IR MAGAZINE
特別企画

「The Gas Professionals」としてお客さまに寄り添ったガスの供給に取り組む

濱田 敏彦

濱田 敏彦
Toshihiko Hamada
代表取締役社長 CEO

産業ガスの製造・販売メーカーとして、国内シェア1位、グローバルシェア4位(*)の規模を持つ日本酸素ホールディングス。2020年の持株会社化によってその競争力はますます高められた一方、カーボンニュートラル社会の実現や半導体の需要急増など、世界的な課題への真摯な対応も必要だ。同社代表取締役社長 CEOの濱田敏彦氏に、さらなる成長へのビジョンを聞いた。

溶鉱炉からステンレス製魔法びんまで
産業ガスの幅広い用途と技術


――まず貴社の事業内容を教えてください。


濱田敏彦社長(以下濱田) 産業ガスの用途は非常に幅広く、当社グループのお客さまはあらゆる製造業の事業者に及びます。産業ガス事業では、空気を分離したセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)などを供給しており、例えば鉄鋼業では溶鉱炉の燃焼を促す酸素が用いられます。身近なところでは、ドライアイスや医療用酸素も同事業の領域です。また近年では、代替エネルギーとしての水素や、食品劣化防止用の窒素など、環境負荷低減の素材としても用途が広がっています。

 エレクトロニクス事業では、半導体の基板に積み込む部品の材料となる電子材料ガスを供給しています。グループ唯一のBtoC事業であるサーモス事業では、産業ガスを極低温の液体として保管するために培った技術を活用して、高真空ステンレス製魔法びんを製造・販売しています。

――貴社の技術力は高く評価されていますね。

濱田 1910年の創業以来、当社は一貫して安全に産業ガスを供給する技術を積み上げてきました。効率的に製造したガスの安定供給は産業ガスメーカーの基本であり、当社の強みはその先のガス・アプリケーションにあります。

 これは、お客さまのニーズに応えてシンプルで使い勝手のいいガスの利用システムを提供する技術です。製造業の現場では近年、ダイバーシティが進むなかで、より扱いやすい機器が求められていますが、こうした機器の開発も当社の得意とするところであり、グループの理念「The Gas Professionals」にも通じるものです。当社の技術の柱として、お客さまに寄り添ったガスの供給に取り組んでいきます。

――2020年10月に持株会社化を実施されました。その狙いをお聞かせください。

濱田 当社グループの事業エリアは、日本はもとより、米国、欧州、アジア・オセアニアに広がっています。スピード感のある海外顧客企業の事業展開に対応するには、エリアごとに異なる産業構造に精通した現地の事業会社が自ら判断できる体制が不可欠でした。持株会社化の目的はそこにあり、投資を含めた新しい案件の数から、その成果を実感しています。

 グループ全体のガバナンスのために毎月開催する会議には、各事業会社の責任者が取締役として加わっており、各エリアへの権限委譲とグループとしての連携がうまく両立できていると考えています。

*ガスジオラマおよびウェルディングMARTに掲載されている産業ガスマーケットシェアをもとにして自社で推定

水素供給とエレクトロニクスで
さらなる成長を目指す


――前中期経営計画「Ortus Stage2」(2017~2020年度)の成果をどのように捉えていますか?


濱田 前中計はその最終年度に新型コロナウイルスの影響を受け、主要な数値目標は未達でしたが、これを機にコスト管理と生産性向上を図り、収益拡大の基盤づくりに取り組みました。他方、主要テーマの①事業地域の拡大、②新技術の取り込み、は順調に進捗しました。

 ①では、米国最大の産業ガスサプライヤーPraxair,Inc.の欧州事業の一部を取得。世界的な業界再編が進むなかで競争力を高めました。②ではLinde AG(ドイツ)の米国HyCO事業を獲得。天然ガスを分離分解して大量の水素(H2)と一酸化炭素(CO)を供給する技術を保有したことにより、大規模な水素供給事業が可能になりました。

 2022年春頃公表予定の新中計(2022~2025年度)では、グループの総合力強化のためのガバナンス整備のほか、どんな技術を取り入れるか、どんな会社とパートナーシップを組むか、どのエリアで事業展開するべきかを見極め、2026年以降の飛躍に向けた準備を進めていきます。

――今後の成長のカギは何でしょうか?

濱田 先ほど触れたHyCO事業はそのひとつです。世界がカーボンニュートラル社会の実現を目指すなかで、需要が飛躍的に高まる水素の供給技術の軸となるHyCOは、当社グループの大きな柱になります。HyCOにはCO2の発生という課題がありますが、CO2回収の技術と組み合わせて取り組んでいきます。

 また、当社の酸素による燃焼技術を活かし、お客さまのエネルギー利用の効率化を提案していきます。これはガス事業の原点であり、成長機会のひとつとなると考えています。そしてこれらにより、政府が掲げる「2050 年のカーボンニュートラル社会の実現」という目標に、積極的に関わっていきます。

 一方で、当社は大量の電気消費者でもあることから、電源を構成するエネルギーの組み合わせを見極めながら、再生エネルギーの証書付きの電力の購入も検討して、当社の消費電力から間接的に排出される温室効果ガスの低減に取り組みます。

 エレクトロニクス事業の伸びにも期待しています。世界的な半導体不足が叫ばれていたなかでコロナ禍によるサプライチェーンの見直しが進み、東アジアに集中していた生産工場の国内回帰や再拡散が始まっています。半導体メーカーからは、産業ガスの製造工程の統一性や在庫管理について高い品質や管理を求められますが、当社グループの技術水準と実績に加えて、DXを活用することでお客さまの要求に応えていきます。

――最後に、株主還元の方針をお聞かせください。

濱田 当社グループでは、コンプライアンスの重視はもちろんのこと、The Gas Professionalsとしてやるべきことに正しく取り組んでいきます。そしてさらに事業のフィールドを広げるため、設備投資も重視しています。

 配当はここ数年増配を続けていますが、株主の皆さまに当社の位置付けをご理解いただけるように投資と還元のバランスをとり、「しっかりと足元を見ながら成長しているな」と認識していただけるよう努めていきます。今後の日本酸素ホールディングスグループに、ご期待をお寄せいただければ幸いです。

 

今後の需要増が期待されるHyCO事業

当社グループでは前中期経営計画「Ortus Stage 2」において、重点戦略「イノベーション」の考え方に基づき、ガステクノロジー領域の拡大を目指し、2019年、独Linde AGから米国におけるHyCO事業の一部を買収しました。その結果、一定の規模で大量に水素と一酸化炭素を製造し、オンサイトで供給する事業をグループに取り込み、製品ラインアップの拡大につながりました。

株価情報
株価/チャートなど(野村證券サイト)がご覧になれます