アイアールマガジン

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特別企画

Be the Right ONE
お客様から選ばれる価値を
追求し、唯一無二の存在になる

貸谷 伊知郎

貸谷 伊知郎
Ichiro Kashitani
取締役社長

トヨタグループ唯一の商社としてその名を知られる豊田通商。
「総合商社」の一角を占めるが、貸谷社長は「強みを持つプロフェッショナルな『専門商社の集団』であるべきだ」と言う。
その考えは、豊田通商が目指す姿「Be the Right ONE」に基づいている。
代替不可能な、唯一無二の存在とは?
 

かけがえのない存在を目指す

 豊田通商は、環境変化の大きな渦の中を生き抜き、持続的な成長を続けるために、Be the Right ONE(〝代替不可能・唯一無二〟の存在になる)というビジョンを掲げています。強みを発揮できる事業に集中し、顧客にとってかけがえのない存在になることが大切だと考えるからです。

 Be the Right ONEを目指すうえで意識すべきものとして、私たちは6つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定しています。これらを軸に社会課題に取り組み、人・社会・地球との共存共栄を図り、豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を目指していきます。
 

コロナ収束後には飛躍へ

 当社では、毎年目標をローリングして更新する3年タームの中期経営計画を策定しています。2020年4月に更新した新中期経営計画では、現在全世界が受けているコロナの影響が3年後には収束していると仮定しています。その間に着実に布石を打ち、できる限り速やかに成長軌道に戻します。国・地域の状況に適した守りと攻めの施策を打ち出し、回復後の飛躍を実現します。

 なお、2020年3月期の1株当たり配当金は110円で、10期連続増配となり、2021年3月期も年間110円の予定です。今回コロナ禍の影響により、グローバルベースで景気が下降局面を迎えていますが、こうした環境下でも収益基盤のさらなる構築に努め、着実に株主還元策を維持、強化していく考えです。

 また今回の計画では、攻めの布石として「循環型静脈事業戦略」を、4つ目の重点分野に加えました(P.81の図参照)。これにより4つのマテリアリティと4つの重点分野がリンクし、マテリアリティと中期経営計画の連動性が高まる形となりました。

強力に推進する4つの重点分野

【ネクストモビリティ戦略】
 安全で快適なモビリティ社会に貢献することを掲げる同戦略では、自動車業界の大変革であるCASE*への対応を加速するとともに、全社横断プロジェクトとして新たな事業機会の創出を目指しています。

 自動車のライフサイクルにおける「開発・生産」「利用・サービス」「再利用」の各段階で、①次世代の〝クルマ〟、②次世代サービス、③エネルギーマネジメント、の3つの切り口で、ハンズオン型事業創造(新技術の手の内化)や、ファンドを活用した新たな事業機会の開拓を推進します。


【再生可能エネルギー戦略】
 当社は競争力あるクリーンな電力事業者として、進出国・事業領域の一層の拡大を目指しています。2019年10月に、当社グループである国内最大の風力発電会社、㈱ユーラスエナジーホールディングスと共同出資するエジプト初の風力発電IPP*事業が、商業運転を開始。これを通じてエジプトでのクリーンで低価格な再生可能エネルギーの普及に貢献するとともに、ここで蓄積したノウハウを活かしてさらなるビジネス機会を開拓し、西・南アフリカへの展開など、「面」での広がりを追求します。

 国内では、トヨタ自動車㈱、中部電力㈱と共同で2020年6月に「トヨタグリーンエナジー」を設立。30年以上にわたって培ってきた発電事業運営のノウハウを活かして、トヨタグループへの再生可能エネルギー供給に貢献します。


【アフリカ戦略】
 全従業員の約3分の1の2万2000人が従事するアフリカは当社にとって極めて重要な地域です。2019年1月には、トヨタ自動車㈱からアフリカ市場における営業関連業務の全面移管を受け、その重要性がさらに増しました。

 主軸となるモビリティ分野では、事業を通じてアフリカの社会課題の解決と発展に貢献し、「町いちばん」の企業になることを目指し、現地で生産し、そこの人たちに乗っていただく〝地産地乗〟の取り組みも推進していきます。2019年11月には、南部アフリカ地域のビジネス強化を目指し、南アフリカで最大手の自動車ディーラーグループの1社〝Unitrans Motor Holdings(Pty)Ltd.*〟を買収したことで、その市場でのシェア拡大に向けた布石を打ちました。

 モビリティ分野以外でも、医薬品、消費財、プラントにおいても新たなビジネスの開拓に注力しながら「WITH AFRICA FOR AFRICA」のスローガンの下、事業を推進していきます。


【循環型静脈事業戦略】
 今回の中期経営計画で追加した同事業戦略は、自動車の素材調達、ノックダウン、販売など自動車の製品ライフサイクルのうちの上流部分に加え、当社は以前から静脈事業といわれる車両の回収と解体、部材や部品の再資源化にも携わってきました。自動車以外にも、生活資材、家電、廃プラスチックなどの資源循環事業も強化しています。当社グループで国内最大級の再生プラスチック製造会社である㈱プラニックでは、使用済みプラスチックを原料に、日本初の高度比重選別技術による高品質な再生プラスチックの製造を2021年に開始予定です。

 同事業は派手さこそありませんが、まさに「作業服を着てヘルメットをかぶり、現場で汗をかいて仕事をする豊田通商グループ」の特性を体現するものです。

 以上4つの戦略を、グローバル化とデジタル変革という横串によって打ち手を加速し、コロナ禍を乗り越えて中期経営計画の達成を目指し、飛躍的な成長を遂げていきます。

1  自動車産業に大きな変革をもたらすとされる4つのキーワード。Connected(つながる化)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリング)、Electric (電動化)の頭文字で構成された造語
2  Independent Power Producerの略称で、独立系発電事業者のこと
3  現社名はCFAO Motors South Africa(Pty)Ltd.
 

 
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