アイアールマガジン

IR MAGAZINE
特別企画

「社会イノベーション事業」で
グローバルリーダーへ

社会価値・環境価値・経済価値の同時実現をめざして

東原 敏昭

東原 敏昭
Toshiaki Higashihara
執行役社長 兼 CEO


今、世界では気候変動や資源不足、高齢化による人口構造の変化、都市化の問題、さらには新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応など、人々の生活に影響を及ぼす、さまざまな変化の波が押し寄せている。日立は創業以来、「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」を企業理念として、社会が直面する課題を解決してきた。現在は、「社会イノベーション事業」を中心に、COVID-19でも揺らぐことのない盤石な収益基盤を構築しながら、社会インフラのデジタルトランスフォーメーション(DX)をリードしている。日立がめざす「社会イノベーション」とは。日立グループを率いる東原社長が語る。

社会イノベーションが実現する
人と環境に優しい社会

 日立が注力する「社会イノベーション」は、人々の生活を支える鉄道やエネルギー、水などの社会・産業インフラに、デジタル技術をかけあわせることによって、より高度でインテリジェントな社会インフラへと変革させるものです。

 例えば、人間にも環境にも優しい鉄道運行システムとはどのようなものでしょうか。今の社会では、電車は、乗客が多くても少なくても、決まった時刻表通りに運行します。では、乗客の人数に応じた運転間隔の調整ができれば、資源をより効率的に使うことができるのではないでしょうか。今、日立はデンマークのコペンハーゲンにおいて、実証実験を行っています。駅のプラットホームにセンサーを設置し、待ち人数から自動で運転間隔を調整するシステムの検証を進めているのです。最も多くの人を最も小さなエネルギーで運ぶことができる、人と環境に優しい運行システムです。

 

デジタル技術による新たな価値創出
「IT×OT×プロダクト」の強み

 日立は社会インフラのデジタルトランスフォーメーションをリードする企業として、世界中の人々の生活の質(Quality of Life)とグローバルに広がる顧客企業の価値向上に寄与していきたいと考えています。その核となるのは、デジタル技術です。社会やお客さまの課題に対し、データアナリティクスやAI(人工知能)といった高度な分析技術を用いることで、新たなソリューションを開発・提供しています。

 デジタル技術による価値創出を実現できる日立の強みは、110年間携わってきたモノづくりの知見です。「プロダクト」納品後の運用の中で、お客さま側での使われ方、すなわち「OT」(制御・運用技術)のノウハウを蓄積してきました。1950年以降は、コンピュータ技術の開発に取り組んできたことから、「IT」のノウハウも持っています。この「IT」「OT」「プロダクト」を併せ持つことが、他社にはない日立の強みとなり、さまざまな課題解決を実現できるのです。
 

COVID–19がもたらした生活の変化

 COVID–19によって人々の生活スタイルは大きく変わりました。変化は時に困難を伴うものの、ネガティブな側面ばかりではありません。COVID–19拡大により、「リモート」「非接触」、それから、人間の介在を不要にする「自動化」が、社会を変えるキーワードとして注目を集めています。COVID–19がもたらした不便・不自由な生活は、デジタル技術を用いた解決策により、生き生きとした新たな生活に変えることができると思います。

 重要になるのは、「人間中心」の社会づくりです。スマートフォンやインターネットなど、テクノロジーが私たちの生活を変えました。そして、今後はAIがイノベーションを推進していく役割を担うと考えられています。しかしCOVID–19でよくわかったことは、こうした世の中の変化の中心にあるのは、テクノロジーではなく、人間だということです。

 こうした世の中の変化は、人々の暮らしを変える、スマートシティ実現の後押しにもなるでしょう。日立は、アミューズメントパークを一種のスマートシティと考えることで、必要なソリューション開発が進められると考えています。パークの運営に不可欠な安定したエネルギーの供給やアトラクションの故障を防ぐ予兆診断、あるいはビジターの待ち人数の把握やソーシャルディスタンスの確保などをビデオで解析するといったソリューション提供の可能性があります。これは、エネルギーや鉄道(乗り物)、産業機器などのデジタルソリューション開発に注力している日立だからこそ実現できる世界だと考えています。

 

日立がめざす環境価値向上

 日立は、社会イノベーション事業の提供を通じ、お客さまの社会価値・環境価値・経済価値の3つの価値を同時に向上させることをめざしています。

 環境価値の向上に向けては、自社の生産におけるカーボンニュートラルを2030年度までに達成することを宣言しています。世界の環境価値の向上をリードする企業へと変革を進め、「環境への取り組みと言えば日立だ」とどなたにも言っていただけるような企業へ進化させていきます。

 同時に、世界で戦える事業ポートフォリオ構築も継続して進めていきます。それぞれの事業分野を世界のリーディングシェアが獲れる事業へ育てていくことで、投資に必要な資金を確保していきます。社会イノベーション事業を中心とする中長期の事業計画に基づき、今後も配当の安定的な成長を念頭に株主の皆さまに還元できるよう、企業価値の向上に取り組んでいきます。今後とも、ご支援賜りますよう、よろしくお願いいたします。
 
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