アイアールマガジン
IR MAGAZINE地域・顧客密着で独自性を発揮
機動力を活かし
新たな価値創造に注力
二田 哲
Akira Nitta
代表取締役社長
「ヨド物置」で広く知られる淀川製鋼所。
大阪市に本社を置く独立系鋼板メーカーとして、顧客ニーズにきめ細かく対応した一貫生産の商品づくりで独自性を発揮している。
同社は2035年の設立100周年に向けた長期ビジョン「桜(SAKURA)100」を掲げ、その道程を示した「中期経営計画2022」を2020年度に策定した。
二田哲社長に事業内容と新中計の具体的戦略、株主還元方針などについてうかがった。
独立系鋼板メーカーとしての存在感
まずはどのような事業を展開されているのかお聞かせください。
二田哲社長(以下二田) コアビジネスは、鋼板関連事業です。
同事業の鋼板部門では、高炉メーカーから熱延コイルを購入して、それを原材料として酸洗・圧延した冷延鋼板をはじめ、めっき鋼板、カラー鋼板を販売しています。用途としては、主に建材製品や家電製品などに使われています。
さらに、同事業の建材部門では、自社の鋼板を用いた建築用屋根材や壁材、外装パネルの製造から施工までを、同じくエクステリア部門では、物置やガレージなどの鋼製エクステリア商品の製造販売を手がけています。
おかげさまで「ヨド物置」は2020年に50周年を迎えることができ、この分野では国内で高いシェアを維持しながら展開しています。
また、大手鉄鋼・製紙業向けのロール事業や道路側溝蓋のグレーチング事業、オフィスビルや駐車場の賃貸などの不動産事業も手がけています。
まさに「川上(鋼板)から川下(物置)まで」ですね。御社の強みや特徴について教えていただけますか。
二田 大手高炉系の傘下に入っている鋼板メーカーが多いなかで、当社は独立系の鋼板メーカーとして歩んできました。全国に20の営業拠点を持ち、地域で事業を手がける流通業者さまと連携しながら事業を展開しています。
地域密着、顧客密着で独自性を発揮しているのが当社の強みだと自負しています。
加えて、素材(鋼板)から成型加工品、そして施工と、市場のニーズを多層的に捉える事業構造となっていることも大きな強みです。
機動力重視の新中計を策定
具体的な取り組みを教えてください。
二田 新中計は、第3次中計(2023~2025年度)の成果定着に向けた助走期間としての施策展開という位置付けです。
まず、「機動力を活かした収益構造の強靭化」は迅速性と部門間連携を重視しています。例えば、2017年3月に姫路事業所で耐火パネル商品の製造を開始していますが、生産・販売体制の強化のため2020年4月に本社にパネル販売グループを設置しました。
これは、工事部門、各営業所を統括するとともに工場との連携も強化し、販売活動から納品、ひいては施工までのスピードアップを目的としています。
強みを活かすということですね。
二田 そのとおりです。
2020年4月には、福井県に新会社「福井ヨドコウ」を設立しました。エクステリア部門が手がける物置のなかで、特に小型物置は種類もオプションも多く、生産性の面で課題がありました。
それを改善するために、新会社の効率的な生産ラインで多様化するお客さまのニーズに迅速に応えていくことを目指しています。
「新しい分野への挑戦」も掲げています。
二田 鋼板部門は競争の激しい領域ですが、商品の付加価値向上やニッチ分野・新分野への参入などで収益力の底上げに取り組んでいます。
また、経営企画本部に専属の「新規事業推進チーム」を新たに立ち上げ、グループ全体を見渡し、既存事業に新しい事業の種が埋もれていないか
模索しているところです。
「持続可能な経営基盤の構築」に将来を見据えた積極的投資とあります。どのような投資でしょうか。
二田 前述した福井での新会社設立もその一環です。
さらに、一部の老朽化した工場設備の刷新も課題としています。こうした設備投資も、今後は欠かせません。
海外事業については、どのような戦略で臨むのでしょうか。
二田 台湾、中国、タイに展開する子会社と一体になって、アジア地域をはじめ世界各国の表面処理鋼板需要を捕捉していく事業戦略です。
当社が培ってきた技術の共有化を常に図りながら、グループとして推進していきます。
事業キーワードとして、「安全、安心、環境、景観」をあげています。
二田 商品づくりをはじめ、事業活動のあらゆる面で当社が基本にしているキーワードです。
商品が安全で安心して使用できるのは当たり前の話ですが、物置は防災面からの提案も自治体などを通じて推進してい
ます。
また、環境負荷低減にも取り組み、主力商品の表面処理鋼板では、いち早く六価クロムを含まない「クロメートフリー鋼板」を開発しています。
外装建材商品やエクステリア商品は町並みの景観にマッチすることが重要と考え、商品のデザインにも力を入れています。
配当性向は30~50%が目安
*ガバナンス
二田 ESGへの主体的な取り組みなくして、企業は存続できない社会環境になっています。
そうしたなかで、いかにESGと事業を関連付けて展開していくかを重視しています。
環境への取り組みとしては、商品を通じた環境負荷低減をはじめ省エネ設備の導入などを進めています。
社会貢献活動の一環として、兵庫県芦屋市に保有するフランク・ロイド・ライト設計の国指定重要文化財「ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)」の保存に取り組み、一般公開もしています。
ガバナンスについては、その強化に向けて取締役会の構成を社内取締役3人、社外取締役3人としています。当社取締役会では社外役員からの積極的な発言が多く、活発な議論が行われています。
最後に、御社の株主還元方針についてお聞かせください。
二田 「中期経営計画2022」期間中の配当方針は、年間1株当たり50円以上を維持したうえで、連結配当性向年間30~50%程度をめどに実施します。株主優待制度は、保有株数や保有期間に応じたカタログ優待などを設けています。
株主の皆さまへの利益還元を最重要課題と認識しています。ぜひ、一層のご理解とご支援を賜りますように、心からお願い申し上げます。
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