アイアールマガジン

IR MAGAZINE
特別企画

「これまでの延長線上にない変化」を実現し、
「セラミックスのその先」を目指す

川合尊

川合尊
Takeshi Kawai
代表取締役社長


自動車関連事業において、スパークプラグや排ガス用酸素センサなどで世界トップシェア*を誇る日本特殊陶業は、EV化など自動車産業の大きな変化が予想される2030年までの、意欲的な長期経営計画「日特BX」を策定した。計画を自身の手で策定した川合尊社長に、その実現に向けた戦略と展望をうかがった。

*日本特殊陶業調べ


 

10年間にわたる長期経営計画
「日特進化論」の達成状況はいかがでしょうか。


川合尊社長(以下川合) 当社は2020年にすべてのステークホルダーに対して、「真価」を提供することを目指し、2020年までの長期経営計画「日特進化論」を遂行してきました。その結果、連結売上高は2010年度の2,692億円から2019年度の4,262億円、同営業利益は288億円から464億円へと大幅に成長させることができました。過去5年間の平均営業利益率も、7.7%から14.5%へと2倍近くまで改善しました。その進化の根拠は、以下の4点にあると考えています。

 第1は、ものづくり企業としてスパークプラグの圧倒的な地位を確立した点と、排ガス用センサ市場でのトップシェアを維持している点です。
 第2は、高収益企業への体質強化として海外生産比率を30%から40%へと拡大したことと、権限を移譲した地域統括会社(RHQ)体制のスタートによるグループ力の強化です。

 第3は、社外取締役を含めた活発な議論とガバナンス強化により、企業としての発展性を確保するとともに、戦略的M&Aや合弁会社設立により、WELLS、日本エム・ディ・エム、NTKセラテック、CAIRE、森村SOFCテクノロジー、CECYLLS(セシルス)などの各社を日特グループに加えた点です。
そして第4に「日特ウェイ」を制定し、日特グループが守るべき価値観を全従業員で共有するとともに、次世代へ継承する体制を整えました。
 

2030長期経営計画の戦略と
全体像について教えてください。


川合
 2020年までの「日特進化論」では、既存事業の強化は順調に進んできました。しかし、新規事業の創出については想定したほどには進んでいないという現状があります。そこで、次の長期経営計画では、新規事業の創出と経営基盤の強化に注力することを打ち出しました。

 まず、当社が向かうべき方向性=目指すべき姿を2040年に定めました。そこから逆算する形で、中間地点である2030年の「ありたい姿」を「日特BX」として定めたのです。BXとは、Beyond ceramics, eXceeding imagination(セラミックスのその先へ、想像のその先へ)からとったものです。

 内燃機関向け製品は2030年代半ばをピークに減少に転じると予想されます。そこで、現在は好調な内燃機関事業からの収益を基に、事業ポートフォリオを転換し、安定的な成長を目指す戦略です。

 現在の内燃機関事業の売上高は82%を占め、それ以外は18%ですが、2040年にはこれを大きく逆転させ、非内燃機関事業60%、内燃機関事業40%にしていくことを目指します。ここで重要な点は、単に事業ポートフォリオの構成比を転換するのではなく、2040年に売上高を倍増させるなかで実現する姿を描き、その中間地点の2030年には、非内燃機関事業40%、内燃機関事業60%へと転換を進めます。非内燃機関事業40%のうち30ポイントは既存の成長事業をさらに成長させますが、残りの10ポイントは新規事業で達成する計画です。

 

目標の達成に向けた具体的な施策について
教えてください。


川合
 まず長期経営計画を2期に分け、2021ー2024年度の中期経営計画(4年間)で、「変えるために、壊す。変わるために、創る」ことを目指します。一業一社の精神に立ち返るため、カンパニー制の導入を検討するなど、ゼロベースで変革を行います。次の2025ー2029年度の中期経営計画(5年間)では、「その先の未来を、伸ばす。超えるために広げる」ことを目指します。新たな企業風土を醸成し、持続的成長を必ず実現します。

 具体的には、既存の内燃機関事業の超効率化によるキャッシュの創出を前提としつつ、成長分野に大胆に取り組んでいきます。当社の得意とするコア・コンピタンスとして「セラミックスの素材技術」「過酷な環境での適用技術」「異種材料接合技術」「センシング技術」「急速高温加熱技術」「グローバル生産・販売体制」がありますが、これを環境・エネルギー分野、モビリティ分野、医療分野、情報通信分野へと展開していきます。

 環境・エネルギー分野ではセンシング技術を活用した一次産業効率向上や再生エネルギーの安定供給に注力します。モビリティ分野ではメンテナンスサービス提供、セラミック部品による電費向上、MaaSサービスの提供などが可能です。また医療分野へはセラミック材を応用した人骨派生製品の提供、超音波技術による非侵襲診断・治療・予防機器やサービス提供を強化していきます。さらに情報通信分野では、高速通信を支えるインフラ部品の提供を進めていきます。こうした分野への積極投資により、成長分野・新規事業を開拓していく計画です。

 このような事業ポートフォリオの転換を実現するための施策として、まず経営革新に取り組みます。DXを推進し、小さく強く機動的な本社を構築して、経営判断のスピードを上げていきます。

 次に、権限・責任の厳格化です。外部人材を積極的に登用し、事業環境に適した成果・報酬・評価システムを導入します。そのためにカンパニー制や分社化などに向けて準備を進めています。

 さらに、意識改革と企業風土を変えるべく、志・共生の意識を醸成します。「日特BX」のスローガン「これまでの延長線上にない変化を!」のとおり、守りの文化から攻めの文化への転換を図り、働き方改革や生き方改革に取り組むことで2020年3月比で生産性の30%向上を目指します。また、女性・外国籍・キャリア採用を促進します。

 この意識改革を実現するうえでも、事業分野に応じた権限と責任を付与するカンパニー制の導入は重要だと考えています。

 

最後に、投資家の皆さまへの
メッセージをお願いします。


川合 当社は、社会全体が大きな転換期を迎えている現在、かつてない転換を成し遂げようとしています。
そのなかで当社は株主還元として、これまでは「安定配当」と「30%以上の配当性向」を掲げてきました。新しい長期経営計画「日特BX」では金額としての安定配当を外すとともに、「30%以上の配当性向を維持し40%を目指す」ことを掲げました。株主の皆さまと利益を公正に分かち合うとともに、残った資金を成長分野や新規事業に積極的に投資するための施策です。株主の皆さまには、当社の強い意志と成長戦略をご理解いただくとともに、変わらぬご支援をお願いいたします。

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