アイアールマガジン

IR MAGAZINE
特別企画

さらなるデザイン力の
強化によって
“スペースクリエーション企業”へ

安田 正介

安田 正介
Shosuke Yasuda
代表取締役 社長執行役員

2度の中期経営計画を経て、売り上げ規模の拡大と組織の機能強化を着実に進めてきたインテリア大手のサンゲツが、2020年5月、初めての長期ビジョンを策定。10年後に目指す姿とその指針を定めた。さらなる成長に向けた考え方とその方策を安田正介社長にうかがった。

機能強化が進展し
売上高は過去最高に

――前中期経営計画「PLG 2019」の達成状況はいかがでしょうか。

安田正介社長(以下安田) 当社は「インテリア商社」に位置付けられますが、商品を自社開発するメーカーの側面もあり、サンゲツブランドのもとで約1万2,000点の商品の企画、仕入、販売、出荷、流通を担っています。前中計の主要テーマのひとつは、このあらゆる段階で機能強化を図ることでした。

  例えば、1日6万~10万点を扱う受注体制では、オンラインシステムの導入や業務のアウトソーシングを推進し、担当社員の事務作業を大幅に削減することにより、営業部門の人員に厚みを持たせました。さらに物流センターの整備や自社配送網の構築など、機能強化は進んでおります。また、サンゲツ沖縄の設立と中国・四国地方の配送強化により、当社シェアが比較的低かった地域の売上拡大も達成しました。

  もうひとつのテーマである地理的拡大では、子会社のコロシール社(米国)とグッドリッチ社(シンガポール)を軸に、環太平洋地域での基盤づくりが進んでいます。

――前中計の最終年度(2019年度)の決算の評価をお聞かせください。

安田 連結売上高は過去最高を達成。同営業利益も前期比大幅増となりました。事業別でも、インテリア事業とエクステリア事業のみで連結での当期純利益の目標額(80億~100億円)をほぼ達成するなど、機能強化の成果を感じています。一方、海外事業が9億円の営業損失となったことに加えて、約60億円の減損を行い、連結当期純利益は14億円、ROEが1.5%と、目標数値から乖離した結果になりました。ただし今回の減損は、海外事業立て直しのためにより厳しい収益見込みを立てたことによる、一過性のものとご理解いただきたいと思います。
 

内装材料を売る企業から
スペースクリエーション企業へ


――新たな長期ビジョンと中期経営計画の位置付けを教えてください。


安田 「モノを売る」というビジネスに付加価値が生まれにくい時代にあって、どうやって利益を生み、社会的責任を果たすかを考えた時、「内装材料を売る企業」からの転換を図る必要があると判断してまとめたのが、長期ビジョン「DESIGN 2030」です。
 


 ここでは、デザインを経営の基盤に据えて、ブランド価値向上と事業転換を果たすことを出発点に、当社が目指す社会的価値「みんなでいつまでも楽しさあふれる社会を」に至るアプローチを描いており、将来あるべき当社の姿を「スペースクリエーション企業」と位置付けました。〝スペースクリエーション〟とは、従来取り扱ってきたインテリア商材などのモノや空間のデザイン・提案のみならず、さまざまな空間での人々の体験や行動を考え、構想する、コトのデザイン・提案を含むものです。すでにスペースクリエーション事業部を立ち上げ、一級建築士をはじめ、多様な人材の確保を進めています。同事業部は内装材の販売ではなくリニューアル事業そのもので収益をあげる組織であり、当社の将来像を体現するものと考えています。


 新たな中期経営計画「D.C.2022」(2020-2022年度)は、長期ビジョン「DESIGN  2030」をベースに施策を打ち立てたものです。基幹事業であるインテリア事業とエクステリア事業の収益拡大を実現し、基幹事業のリソースを活用して次世代事業(海外事業、スペースクリエーション事業)の収益化を目指します。
 


<中期経営計画【D.C.2022】の全体像>
新中期経営計画『D.C.2022』は、長期ビジョン『DESIGN 2030』をベースに策定。人々の求める価値が“所有” から“コト” へ移っているとの認識のもと、「専門人材が活躍できる組織整備」「データ・情報の高度活用」で経営・事業基盤を強化し、スペースクリエーション企業に転換する。最終目標には、SDGsに対応した Inclusive(みんなで) Sustainable(いつまでも) Enjoyable(楽しさあふれる) 社会の実現への貢献を掲げている。

――今後の成長のカギとなるのは何でしょう。

安田 主に3点あげられると思います。1つは「量的拡大を企図した海外市場への注力」です。市場の拡大が見込める海外事業は、やはり重要です。当社の強みは、「サンゲツ」というコーポレートブランドのもとに内装材料をカバーする商品群があることですが、海外の2社はその途上にあります。ブランディングとポートフォリオの強化を果たし、それがさらに事業の強化に反映されるという循環を作り上げていきます。

 2つ目は「国内の非住宅リニューアル市場における機能強化」です。国内の建設市場のなかで最も伸張が期待される同市場は、先にご紹介したスペースクリエーション事業との親和性が高く、今後、特に需要を伸ばしていくべき市場と考えています。

 3つ目は、「エクステリア事業の拡大」です。これによって、非住宅リニューアル市場におけるスペースクリエーション事業とのシナジー効果も期待できると考えています。

――最後に、株主還元についての考え方をお聞かせください。

安田 継続的な増配の方針を維持しつつ、配当は今後の収益を見極めて決めさせていただきます。その結果として、状況に応じた自社株買いも検討していきます。今後の資本政策としては、自己資本を900億~950億円で維持し、総還元性向は3年間の総額でほぼ100%といたします。

  配当の決定には、今般の新型コロナ禍の影響などを勘案しますが、中長期的に安定的な増配を行っていきたいと思っています。在宅勤務の浸透がオフィス需要に影響を与えるとの見解もありますが、形は変わってもワーキングスペース自体の需要はなくならないこと、住空間の快適性を見直す動きもあることを鑑みると、新たな需要開拓の可能性を見いだせると考えています。

《編集タイアップ広告》
株価情報
株価/チャートなど(野村證券サイト)がご覧になれます