アイアールマガジン

IR MAGAZINE
特別企画

持続可能な社会の実現に
「直列」につながる
事業活動を展開する

山本 清博

山本 清博
Kiyohiro Yamamoto
代表取締役社長

大型建物の空調自動制御、各種工場・プラントの製造装置や生産ラインの計測・制御など、オートメーション技術を軸に、人々の生産性や安全性、快適性の向上に貢献してきたアズビル。2020年6月の社長交代を契機に、SDGsを積極的に取り込んだ独自のCSR経営を加速させるという。バトンを託された山本清博新社長に、次代の成長戦略と目指す企業像をうかがった。

社会・環境課題解決への貢献と
グループの成長を両立


――アズビルの事業内容についてお聞かせください。

山本社長(以下山本) 当社は、グループでオートメーション技術を核とする製品やサービスの提供を通して、産業の発展と人々の暮らしを支える〝黒子の企業集団〟です。

 アズビルのオートメーション技術が活用されている身近な例には、大型建物の空調自動制御があります。温度や湿度を〝計測〟して最適な状態に〝制御〟し、オフィスなどの建物の用途やそこで働く人々の働き方に応じた快適性、生産性、および省エネルギー実現に寄与しています。

 また工場・プラントでは、高度な生産設備・システムの制御はもとより、操業の安全性と品質の安定性を支える機器、ソフトウエア、サービスの提供などを行っています。この“計測・制御”がオートメーション技術の肝であり、新たな先端技術を取り込みながら、お客さまの課題を可視化し、価値の創造に貢献しています。

 当社の創業は1906(明治39)年にさかのぼります。工作機械の輸入商社としてスタートし、創業者・山口武彦の「人間を苦役から解放したい」という志を受け継ぎながら、100年を超える企業の歴史のなか、時代の流れ、社会の変化に応じて、その理念を、お客さまとともに現場で価値を創造し、人々の「安心、快適、達成感」の実現を目指す「人を中心としたオートメーション」とし、この理念に基づいて事業内容を深化・拡大してきました。

 現在、事業領域はビルディングオートメーション(BA)、アドバンスオートメーション(AA)、ライフオートメーション(LA)の3つの分野に広がり、オートメーション技術の応用範囲も、各種建物の空調自動制御から、石油精製や化学などのプラントにおけるプロセスオートメーションや半導体製造装置等のファクトリーオートメーション、ガス・水道メーター、ライフサイエンス分野などの社会インフラにまで及んでいます。


――アズビルが目指すべき企業像をお聞かせください。


山本 当社グループは、目指すべき企業像として「人を中心に据え、人と技術が協創するオートメーション世界の実現に注力し、顧客の安全・安心や企業価値の向上、地球環境課題の改善等に貢献する世界トップクラスの企業集団になる」を掲げています。

 このため、「人を中心としたオートメーション」の発想に基づき、単なる自動化、効率化ではなく、オフィスや工場で働く人たち、都市に住む人々が、安全に、安心して、いきいきと快適に働き、生活することができる、そのような製品、サービスをお届けしてきました。これが結果として、顧客・社会とのライフサイクル型事業という形に進化し、自らの事業の収益性を高め、持続的な成長の実現へとつながってきています。

 なお、ライフサイクルでの事業を展開し、顧客・社会に新たな価値を提供しつづけるためには、自らが失敗や変化を恐れず、革新的な行動をとることが必要と考えています。「学習する企業体」を経営の基本方針のひとつとし、社員に対しても、〝人を中心とした〟の発想で、いきいきと、創造的に働くことができるよう「健幸経営」を推進しています。



――地球環境への貢献にも積極的に取り組んでいますね。

山本 オートメーションは、省エネルギーを実現することでCO₂排出量削減に貢献できる、地球環境の課題解決と親和性の高い技術です。このことから、当社では環境課題への取り組みを社会貢献に「直列」につながるものとして捉えています。実際、当社の製品、サービス、ソリューションの提供を通じて、2019年度にはお客さまの現場で合計300万t(推計値)のCO₂削減効果をあげています。製品の供給だけではなく、サービスも含めて、お客さまの現場で継続的に削減効果をあげることができるのは、当社の強みであると捉えています。

 もちろん、自社の事業活動に伴い排出されるCO₂など温室効果ガスの削減にも積極的に取り組んでいます。2019年度は、温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指す「2050年温室効果ガス排出削減長期ビジョン」と、サプライチェーン全体も視野に入れた2030年の排出削減目標(2019年6月SBT認定取得)を策定しました。再生可能エネルギーの導入など、さまざまな施策によって目標達成を目指します。

 そのほか、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)*²」提言への賛同を表明し、気候変動が事業活動に与える影響について正しく把握する取り組みも進めています。

*1  SBT/Science Based Targets: 産業革命前と比較して気温上昇を2℃未満に抑えるため、科学的根拠に基づいて設定した温室効果ガス排出削減目標
*2  TCFD/Task Force on Climate-related Financial Disclosures:世界主要国の中央銀行や金融当局により構成された金融安定理事会(FSB)によって2015年に設立。2017年に気候変動が事業活動に与える影響について正しく把握し、適切に開示するという提言を公表した

人を中心とした未来のために
アズビルらしさで挑戦


――2019年度は、中期経営計画の最終年度でした。進捗はいかがでしたか。

山本 グループをあげて中期経営計画(中計)に取り組んだ結果、事業・業務の構造変革が進み、収益力が大きく強化されました。

 構造変革の具体例としては、技術開発、調達・生産、人事施策の整備と実践、さらにはCSR経営の実践を含む経営体制の強化・整備があり、いずれも成果をあげています。また、成長エンジンのひとつであるグローバル展開の基盤整備においても、営業・サービスネットワークの強化・拡大が進み、エリアに最適な事業を行うための地域戦略組織(東南アジア戦略企画推進室)も立ち上げました。

 これらの結果として、2017年に策定した中計(2017~2019年度)最終年度の利益目標、営業利益250億円、ROE9%以上を大きく超える営業利益272億円、ROE 10.9%を、2019年度には達成することができました。

――今後の中長期的な事業展開をどのようにお考えですか?


山本 政府が提唱する「我が国が目指すべき未来社会の姿」(Society 5.0)には、IoTやAI、ビッグデータなどの先端技術により、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の未来を実現するというイメージが描かれています。これはまさに、当社グループの理念「人を中心としたオートメーション」と合致するものです。

 また、新型コロナウイルス感染拡大は、人類にウイルスとの共生という課題を投げかけ、建物や生産管理の自動化・自律化・省人化を加速させ、新たなBCP対応を求めてくると考えられます。このほか、高齢化や働き方改革による価値観の変化、インフラ老朽化に対応したメンテナンス、安全確保など、将来において社会的な課題を解決する技術として、当社のオートメーション技術への期待はさらに高まり、当社に持続的成長をもたらすと確信しています。

 さらに近年、世界的に関心が高まっているSDGs(持続可能な開発目標)も、当社グループの事業内容との親和性が非常に高く、「持続可能な社会」という未来像を共有していると考えます。

 時代の変遷、社会構造の変化によって解決すべき課題はさまざまですが、オートメーションはこうした課題の変化に柔軟かつ迅速に応えることができる技術であり、IoTなどの先端技術を取り入れることによって、アズビルの「人を中心としたオートメーション」の課題解決力と対象範囲は大きく拡大しています。

持続的な成長を目指した
新領域への挑戦


――「持続可能な成長」に向けた、各事業における具体的な取り組みをお聞かせください。


山本 当社グループでは、事業運営にあたり3つの基本方針を定め、この基本方針のもと持続的な成長が見込まれる次の3つの事業領域の拡大・強化に注力しています。

 ひとつは、「新たなオートメーション領域」。高度なセンシング技術やAIなど先端技術を取り込んだ製造現場の安全と生産性、価値向上に貢献するソリューションを提供します。また、エネルギー効率の改善と再生可能エネルギーの融合を実現し、顧客企業の持続可能性に貢献する「ライフサイクル型事業」の強化と「環境・エネルギー分野」の拡大に取り組んでいます。

 こうした領域の拡大に向けて、新たな製品、サービスの投入を進めています。例えば、MEMS*³とセンサパッケージング技術により作られた各種デバイス、フィールド機器、知能化したアクチュエータ、センサーを内蔵したロボット、ビッグデータやAIを活用した知識集約型のメンテナンスサービスなどです。このほか都市全体のエネルギー需要の抑制、再生可能エネルギー融合へのソリューションに貢献する「仮想発電所=バーチャルパワープラント*⁴」などがあります。

――社長就任にあたって、まずは何から取り組まれますか?


山本 持続可能な成長を支える3つの事業領域の拡大には、IoTやクラウドなどの先端技術の活用が不可欠です。

 3つの領域での事業をさらに加速するために、まずは「ITソリューション推進部」を社長直属の組織として新設したほか、クラウドの運用体制を強化することを目的に「クラウド運用センター」を創設しました。これまで培ってきた経験・知見とお客さまとの信頼関係をベースとした製品・サービス開発を推進していきます。また、持続可能な社会に「直列」につながる独自のCSR経営を推し進めるため、「サステイナビリティ推進本部」を新たに設置しました。

 これらの歩みを着実に進めるには、皆さまのご理解が欠かせません。信頼をお寄せいただけるアズビルであり続けるため、株主の皆さまへの利益還元を経営の重要課題と位置付け実施するとともに、企業価値の向上に努めていきます。持続可能な社会の構築に向けて力強い一歩を踏み出せるよう、引き続きのお力添えをよろしくお願いします。


*3 MEMS/Micro Electro Mechanical Systems:センサー、アクチュエータ、電子回路を1つの基板の上に微細加工技術によって集積した機器
*4 VPP/バーチャルパワープラント:家庭・ビル・工場など、点在する発電・蓄電設備を、遠隔制御で1つの発電所のように機能させるシステム

アズビルのココが知りたい

山本社長に個人投資家が質問!

ここからは、個人投資家の方から寄せられた「アズビルのことをもっとよく知りたい」といった質問&疑問に、就任したばかりの山本新社長が自らお答えします。

Q アズビルという会社名の意味を教えて!

 2012年に、社名を「山武」から、現在の「アズビル(azbil)」に変更しました。お客さまや社会にオートメーションで新たな価値をお届けしたいという、その思いが社名となっています。

  「azbil」とは、オートメーション(automation)の技術により、安心・快適・達成感のある場「zone」を、実現する者「builder」でありたいという理念そのものを表しています。つまりこの言葉には、当社のグループ理念 ─ 「私たちは、『人を中心としたオートメーション』で、人々の『安心、快適、達成感』を実現するとともに、地球環境に貢献します」─ への思いが込められているのです。

Q 「オートメーション」による製品やサービスには、どんなものがありますか?

 アズビルは、大型建物の空調設備、プラント・工場の製造ライン・製造装置、ガスや水道といったライフラインなどにおいて必要とされる、各種のセンサー等の機器からシステム、アプリケーションソフトウエアをお届けするとともに、こうした製品、システムを最適な状態で維持、稼働させるためのメンテナンスサービスまでを、グループで一貫してご提供しています。

Q どのような製品・サービスでCO₂を300万tも削減するのですか?

 当社グループは、2019年度、顧客の現場で年間合計300万tのCO₂削減に相当する効果を実現しました。これは、日本のCO₂排出量(約12億t/年)の約400分の1に相当します。このCO₂削減効果の数値は、当社グループの製品・サービス・ソリューション導入後の数値と、採用されなかったと仮定した場合の数値との差を推計したものです。

 例えば、BA・AA事業のオートメーション機器・システムは、建物や工場の設備の効率的な運用を図ることでエネルギー消費を抑え、CO₂排出量削減を実現しています。また、これらの機器・システムが最適に運用されるようきめの細かいサービスを提供し、設備運用の維持、さらなる効率化を図ることで、環境負荷低減に貢献しています。このほかエネルギーマネジメントとしては、顧客設備の運用データの分析を基に、エネルギー消費削減策を提案し、保証するESCO事業*⁵なども展開しています。


*5 ESCO事業:顧客が目標とする省エネルギー課題に対して包括的なサービスを提供し、省エネルギーを実現、CO₂を削減するとともに、実現した省エネルギー効果(導入メリット)の一部を報酬として受け取る事業

Q 社長が交代する理由は?

 当社グループは、社名を変更以降、曽禰寛純社長(現会長)のもと、事業・業務構造の変革、事業基盤の整備に取り組んできました。一方で、当社を取り巻く環境も大きく変化しました。IoTなどテクノロジーの進化による事業環境の変化、少子高齢化や新しい働き方への対応、気候変動対応など、新たな課題への対応が求められており、これらを機会とする新たな事業展開が期待されます。私の役割は、曽禰会長が築かれた基盤を基に、事業環境の大きな変化や技術革新の潮流を捉え、SDGs達成も視野に入れた次の長期的な事業成長に向けて、グローバル展開や3つの事業領域における戦略的取り組みの加速を図り、さらなる企業価値の向上を目指すことと考えています。

Q 株主還元の考え方を教えてください!

 株主還元の充実、成長に向けた投資、健全な財務基盤の3つのバランスに配慮しながら、規律ある資本政策を展開しています。株主還元については、経営の重要な課題のひとつとして取り組んでおり、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)などの水準、および将来の事業展開と健全な財務基盤確保のための内部留保等を総合的に勘案して、配当水準の向上に努めつつ、安定した配当を維持していきたいと考えています。過去、大きく事業環境が変化した際にもこの方針を堅持し、実践してきました。

 こうした考えから、2019年度の年間配当は、2019年5月の公表通り、過去最高額となる1株当たり50円とさせていただきました。また、2020年度の配当金につきましても、新型コロナウイルス感染症の影響で事業環境の見通しは不透明ですが、安定した配当水準を実現するために、1株当たり年間50円の配当を維持する予定です。
《編集タイアップ広告》
株価情報
株価/チャートなど(野村證券サイト)がご覧になれます