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  4. 第2特集 今、個人投資家が選ぶ 注目投資テーマ 半導体製造装置
高成長を続ける日本の半導体製造装置産業

高成長を続ける日本の半導体製造装置産業

2022年4月15日
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あらゆる産業で不可欠な 「産業のコメ」 といわれる半導体。 その製造装置の関連分野は、 日本企業も負けてはいない。 業界の現況と今後について、 和田木アナリストの解説でお送りします。
 

和田木 哲哉

和田木 哲哉
Tetsuya Wadaki
野村證券 エクイティ・リサーチ部

世界的な半導体不足が製造装置ビジネスの発展を後押し

 

半導体製造装置は、 日本が高い競争力を有する数少ない産業のひとつです。 半導体の需要が増加しつづける 「スーパーサイクル」の進展を背景に、 過去数年、右肩上がりの成長を続けてきました。 2020年には過去最高の市場規模となり、 以降も拡大基調は持続しています。

 業界各社の株価は、 2015年までは市場平均と連動した値動きを示していましたが、 2016年のスーパーサイクル突入以降、 TOPIXを凌駕する水準で推移してきました。 株価の短期的な上下動は避けられないものの、 中長期的には投資妙味の大きいセクターであると認識しています。

 2021年に顕在化した世界的な半導体不足も、 製造装置ビジネスの追い風となりました。 ここ数年、 5Gの急速な社会浸透や自動車産業の電装化を受けて、 半導体需要が急伸していることに加え、 自然災害やサプライチェーンの混乱が半導体の供給逼迫に拍車をかけています。 半導体不足の解消には、 半導体製造装置メーカーの増産が欠かせません。

市場理解のキーワードは「カーボンニュートラル」と「メタバース」

 半導体製造装置の活況は、 今後も継続すると見ています。 現在、 世界では2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、太陽光や風力など再生可能エネルギーの産業利用が不可逆的に進展しています。 電力の制御や変換を行うパワー半導体の需要が今後ますます拡大していくことは間違いありません。

 メタバースについても、触れておきたいと思います。 2021年10月、 フェイスブックが社名をMeta(通称)に変更し、 メタバース事業に特化していくことを表明しました。 メタバースとは、 ネット上に構築された3次元の仮想空間と、 それに付帯するサービスのこと。 その取り組みのひとつとして、 脳信号を直接コンピュータに送ることにより、 考えただけでパソコンの操作や自動車の運転操作ができるBCI (ブレイン ・ コンピュータ ・ インターフェイス)の開発が進んでいます。

 BCIが実用化されれば、 身体麻痺患者のQOLも格段に向上するでしょう。 その構築には大量の半導体が必要となることから、 製造装置市場のさらなる拡大にもつながると期待しています。

 最後に、 私が注目している銘柄を2社ご紹介したいと思います。 東京エレクトロン(8035)は世界第3位の半導体製造装置メーカーで、 株主への利益還元にも積極的に取り組んでいます。 さらに、 スマホへのAI搭載が本格化するとテスト需要が増大することから、 半導体検査装置の世界的メーカーであるアドバンテスト(6857)にも注目しています。

業績数値の出所は、2022年4月14日時点における「有価証券報告書」並びに「決算短信」。株価は2022年4月14日の終値

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